『グローバル・グリーン・ニューディール』10


何千万もの労働者が自分たちの年金を国の未来に投資する事は、組織労働者を可能な限り守り、労働者の団結権を守り、年金基金の安定した運用収益を確保するだけでなく、気候変動問題に正面から取り組むことも可能にする。さらには、各国で出現しつつあるグリーン時代のインフラ改革に伴う大きなビジネス機会と雇用の創出も加速されるのだ。

考えておくべき厄介な問題がある。インフラはその性質上、すべての市民が利用する公共財であるため、インフラサービスは従来、地方や州、連邦レベルの政府が提供する公共サービスだと考えられてきた。しかし近年、州でも地方レベルでも変化が起き、既存の公共インフラが民間に売却されたリースされたりするケースが増え、新しいインフラが最初から民営化されていることも多い。

政府の資金によって作られ管理されるインフラの運営を政府機関に任せておけば、競争がないために無気力なお役所仕事と堕して、革新とはほど遠くなり、たとえやろうとしたところでその能力もない、というのがその論拠だった。
これは、新自由主義イデオロギーの、まさに要の部分である。だがこの際付け加えておくべきなのは、インフラは民間に任せたほうがうまく機能すると言う主張を裏付ける十分な証拠は、1度も示されていないと言うことだ。

インフラを管理する民間企業は、インフラをサービスよりも事業と捉え、利益を上げることに極めて熱心になりがちであり、業界専門「資産剥奪」と呼ぶ手法の餌食になることも少なくない。これは民営化された刑務所や有料道路、学校などで繰り返し起きている共通の問題である。

長期的に見れば、年金基金による公共インフラへの投資は、グローバル企業がインフラを民営化し、100%営利事業として運営することより良いやり方だと言える。

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