『グローバル・グリーン・ニューディール』11

インフラを民営化するグローバル起業か、年金基金による公共インフラの構築への直接投資か、と言う問題をなぜこれほど詳細にわたって掘り下げてきたのかについて、個人的な話をさせてもらいたい。第1章では、Googleがトロントでスマートインフラの民営化や構築、管理をを 目指して進めているプロジェクトを紹介した。このスマートインフラは、最終的にはトロント都市圏に住む全ての人々の動向を監視するものだ。不安をかき立てられるはするが、これは巨大インターネット企業とICT企業にとっての次なる一大マーケットなのだ。Google創業者のラリー・ページ自身わデジタル技術の持つ効率性や利点に魅せられたあまり、このプロジェクトに市民が嫌悪感を抱こうなどもは一瞬たりとも考えなかったと述懐している。だがEU各地でグリーンインフラ構築の長期ロードマップの展開に関わった経験から言わせてもらえば、公共インフラの民営化を巨大グローバル企業、特にインターネット企業やICT企業、電気通信企業の手に委ねると、必ずと言っていいほど失敗するものである。

一方、インフラに公的資金を投入することにも独自の難しさがある。政府にとって真っ先に必要なのは、債務の対GDP比を最小化することだ。これはEU全域で必須条件となっている。アメリカでも地方や州の政府は同じことに留意しており、増税したり債務を増やしたりすることで必要な投資が実現できるわけではないことを承知している。ではどうやってメールを通り抜け、21世紀のグリーンインフラ構築のための資金を調達する実際的な方法を見つけるのか?

アメリカの市町村も郡も州政府も、大規模なインフラ事業の資金を調達するために債務の大GDP比を大きくしたり増税することには乗り気ではなく、年金基金は大規模投資をしたがっている。

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