『グローバル・グリーン・ニューディール』9


アメリカを始め世界各国では、それぞれの地域に合わせたグリーン・ニューディールのインフラの構築と拡大に必要な資金をどこから調達するのかが、ますます差し迫った問題になりつつある。グリーン・ニューディールについて考える時、この壮大なビジョンと物語を構築する上で必ずぶつかる最初の障害は、「巨額の財政支出」の問題だ。他でもない地球上の生命の存続がかかった危機的状況にある今でさえ、否定論者はそんな金銭的余裕はないと主張する。

サイバーセキュリティーの鍵はレジリエンスの強化であり、そのためにはすべてのコミュニティーで電力の分散化を拡大する必要があるということだ。
マイクログリッドの設置は、間違いなくアメリカを最前線で守る手段になる。もし国内のどこかでサイバー攻撃があった場合、個人の住宅も企業も、コミュニティー全体が速やかに広域送電網からマイクログリッドに切り替え、近隣の地域同士で電気を分け合うようにすれば、社会は機能不全に陥らずに済む。アメリカの送電網を標的にしたサイバー戦争の脅威が、国家安全保障の問題ではないと言える人はおそらくいないだろう。
サイバー攻撃の脅威が継続的な脅威を促しているのと同様に、国内全域で急激に拡大し、生態系だけでなくモノや人命、商業活動に数百億ドルもの損失をもたらしている壊滅的な異常気象の脅威にも警戒が必要だ。今後サイバー攻撃と気象災害はともに増大することが見込まれる中、サイバーセキュリティーと気候変動に対するレジリエンスの問題は、アメリカにとって国家安全保障の最優先課題となっている。

国の「安全保障」のために連邦政府が行っている財源の割り振り方に、大きな間違いがある事は確かだ。
決して使用することのない兵器システムへの膨張する一方の支出を減らし、サイバー戦争から国を守り、気候関連災害への対策や救済措置を講じる上で軍隊が担うべき新たな役割へとまら重点を移すことを検討すべきである。
サイバー戦争や壊滅的な気候事象に対応できるレジリエントなスマートグリッドの確保に充てることさえためらうものであれば、アメリカは甚大な危機に陥ることになる。


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