女文化と日本語の唯一性

「さらに日本文明をユニークにしたもの、それは平安朝の女文化だと思います。世界の主要な文明国の中で、女性の感性に支配された一時期を持った国は日本だけです。しかし、女性の感性の支配は、そのまま女性の社会的地位につながるものではない。武家社会の家父長制は、女性から人格の自由を奪いました。その点で、日本の遊女の歴史を省みると複雑な思いに囚われます。彼女たちは平安の女文化の誇り高い継承者であると同時に、家父長制の典型的な被害者でもあった」

これは現代の日本にも根深くはびこっていますね。安倍政権の取り巻きの一人である自称ジャーナリストの山口敬之の詩織さんレイプ事件などキリがないでしょう。家父長制、あるいは男社会は、女性だけではなく男性をも抑圧し、結果として男性を暴力的にしているということに気づかない限り、問題は解決しないでしょう。その理解が、現在の世界を支配している家父長制のトップにいる支配者にも届き、彼自身がその世界を支配していることで抑圧され、苦しんでいることに気づかない限りは変わらないでしょう。


「平安時代に女性が仮名文字を広く使い始めて社会に普及させたことが日本文化を決定的にユニークな文面にしました。これで日本はそれまで師匠だった帝政中国とは全く異なる文明を発展させることになりました。日本語の場合、日本人が4つの文字体系を使い分けることが日本語独特の言葉にしていると思います。日本人は、抽象的概念的でハードな漢字と身振り豊かでパーソナルな、ソフトなかなの間を絶えず行ったり来たりしています。このハイブリッドと言うことが日本語の比類ない特徴です」

女文化と女ことばで育っているぼくたち日本人には、その気づきを全世界で分かち合える潜在力を持っているということですね。そのためにも、いまの安倍政権に代表される明治クーデータ以来続いている間違った男根主義的な西洋主義的発想、中国的帝王/儒教主義の迷妄から目を覚まし、本来の日本的なこころにたちもどるという世界史的使命があると思います。

関曠野「日本史を再考する Ⅰ」(『なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか』所収)


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