経済が不均衡になってしまう必然性
「生産と消費、供給と需要の不均衡が生じる原因についてのダグラスの見解は、ある意味で単純明快なものである。その原因は(1)オートメーション、(2)企業会計、(3)銀行マネーである。」
「まず第一に、、オートメーション化が膨大な商品を生産する一方で、勤労者の賃金は継続的に減少する。それゆえに生産と消費を均衡させるためには、雇用以外の形で所得を補助する必要が生じてくる」
「第二の企業会の問題、、企業の生産費用を、勤労者の賃金給与に当てるAと生産設備の減価償却費、銀行への負債の返済、他の企業への支払いなどのBに分ける。商品の最終価格を決定しているのはA+Bである。そしてA+BはAよりはるかに大きい。ゆえに勤労者はその賃金では生産された商品の総体を買い取ることができない。ここでダグラスが問題にしているのは労働力の搾取といったことではなく市場経済の要である価格の形成の過程である。商品の価格自体が、供給と需要の均衡どころか恒常的構造的不均衡を表しているのである」
「そして第三に、、機械制大工業の時代が始まると巨大な設備投資の必要などから企業は銀行からの融資なしには存続できなくなり、金融が経済に介入してくるようになった。その結果として例えば、商品の最終価格の三分の一から二分の一が直接間接に銀行に払う利子であるという現実が生じてきた」
関曠野「ベーシック・インカムをめぐる本当に困難なこと」(『フクシマ以後所収』
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