『グローバル・グリーン・ニューディール』12


グリーン・ニューディールにおける官民連携を成功させる別の道もある。それは25年の実績のある「エネルギーサービス企業(ESCO)」と言うビジネスモデルだ。「パフォーマンス契約」と呼ばれるものに基づいて利益を確保する革新的なアプローチであり、資本主義の基本原理である売り手と買い手と言うK基板そのものをひっくり返す、常識と相容れない事業手法である。
パフォーマンス契約では、売り手と買い手からなる市場を完全になくし、供給者と利用者からなるネットワークに置き換える。ESCOはインフラ構築や省エネ改修工事において事業の費用の全てを調達する責任を負い、契約に定められた新しいグリーンエネルギーの生産とエネルギー効率化の成果に基づいて報酬を受け、利益を確保すると言う仕組みだ。

パフォーマンス契約はエネルギー効率や生産性、GDPのためであるばかりでなく、気候変動に適応し、地域の経済的・社会的生活のあらゆる側面でレジリエンスを高めることで、誰1人取り残すことなくコミュニティーの公衆衛生を確保するためのものでもあるのだ。

これは事業計画そのものに社会的義務を統合した、新しいタイプの資本主義(社会資本主義)である。ESCOは投資で利益を得るための新しい技術や管理手法を普段に追求し、コミュニティーはそこから様々な形で利益を得る。

最後に重要なことを付け加えよう。パフォーマンス契約の成否は全面的に、何百万人もの潜在的な半熟練労働者や熟練労働者、専門職労働者の研修と配置にかかっている。
パフォーマンス契約で事業を行うエネルギーサービス事業は、ESCO、労働者、コミュニティーの3者に平等に利益をもたらすのである。

パフォーマンス契約は、売り手と買い手からなる従来の資本主義モデルを「ネットワークにおける提供者と利用者」に置き換えることで、市場取引における売り手と買い手の公平性を取り除き、常に売り手側に一方的に生じる利益も除去する。

シーメンスを始めとする何百と言う大企業が、分散ネットワーク型の共同組合の形をとる何千と言う地域のハイテク中小企業と手を組み、世界または国内の年金基金の連合体が資金提供するESCOのパフォーマンス契約のビジネスモデルに則って、地方自治体や地域と協力しつつスマートインフラの構築を拡大していくことである。この分散型のESCOブロックチェーンモデルは、向こう15年から20年と言う厳しい時間枠を考えれば、地方や地域の経済を迅速に転換させる方法として支持される可能性が高い。
取り残されるのは、グローバル企業が単独で行う古い人衆取り残されるのは、グローバル企業が単独で行う古い人種自由主義モデルである。新自由主義モデルである。これは、従来のビジネス手法を用いて民間ベンチャーとしてグリーンインフラの構築と管理を行うもので、インフラとそれに付随するサービスに対する影響力がコントロールはその企業が握る。
これに対し、新しいパフォーマンス契約モデルは混合型だ。
新しいインフラ構築に対するコントロールと所有権は市町村や群、州政府で構成され、コミュニティーの全体的な福祉に奉仕する「コモンズ」にとどまる一方、インフラの構築と管理を成功させるための経済的負担は民間のESCOが負う。「書い手が不利な立場に置かれる」売り手/買い手による市場が、提供者が「良い行いをして成功する」提供者/利用者のネットワークにとって代わられるのだ。
これこそ「社会資本主義」の真髄であり、短期間でほぼ排出0時代への転換を加速する実際的なビジネスモデルに他ならない。ESCOのパフォーマンス契約に携わる提供者/利用者ネットワークは、新しい「レジリエンスの時代」における持続可能なグリーン文明の構築と管理にふさわしい、特別あつらえのビジネスモデルだといえよう。

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