Webマーケティングで必要なことは?

Webマーケティングに関わる人に必要なことはなにか?

そう聞かれたら、私は「効果計測の仕組みを把握すること」だと考えている。

もちろん、分析手法、必要な指標を挙げてからの仮説検証、それを踏まえての打ち手をあげて運用していく知識、経験など、必要と思われることはたくさんあり、これだけで十分なことではない。

とはいえ、Webマーケティングは、「データを集め、それを集計し、その効果を見ること」である。

そのベースとなる計測の仕組みを把握せずに、効果的な施策を考え、打ち手を実践できるとは思えない。

プロダクトやサービスを作る立場なら、なおさら必要である。

また、それらのサービスを提供している会社に所属しているのであれば、これはエンジニアだけの話ではない。デザイナ、インフラ等も含めたプロダクトサイドはもちろん、CEO、CFO、人事など経営層、バックオフィスも含めたすべての人が知る必要があると考えている。

分からなくてもできることも事実だが、概念を理解できているのと、なにも知らないのでは、時間と共に雲泥の差が出るだろう。

計測できることはビジネスにつながる。Webマーケティングも計測できるからこそ伸びて来た分野でもあり、その大切さを実感してもらいたい気持ちからきていることもある。

さて、前置きが長くなったが、その計測の仕組みを説明していきたい。

なかなか奥が深く、説明する範囲も広いため複数回に分けて説明していく。

今回はオーソドックスにブラウザでの計測をターゲットとしたい。

【計測方法の種類】

ブラウザでの計測は大きく分けると、以下の2つの方法がある。

■ リダイレクト

リダイレクト方式とは、何かしらの広告をクリックした後、計測サーバでリダイレクトを行い、リンク先URLに遷移する。その後、コンバージョン(以下、CVとする)を行うページにて、CV用の計測タグにてトラッキングを行う方法である。

◯ メリット

・リダイレクトを行うため、配信側とのClick数のズレが少なくなる。ズレは必ず発生するので、パラメータ方式よりは精度が高いという意味。

・リダイレクト時にCookieを付与することができる。iphoneでは3rdPartyのCookie付与が制限されており、ここで付与することができることは大きなメリットである。

◯ デメリット

・障害時の影響が大きい。リダイレクトサーバがダウンした場合、広告をクリックしても、LPまで遷移できない。コスト、機会損失が発生

・URLが計測サーバのドメインとなる。実際に目に触れることは限られるが、ユーザにとっては違和感を持たれる可能性がある。

■ パラメータ

パラメータ方式とは、広告からの遷移するURLにパラメータを付与しておき、計測タグでそのパラメータの取得する。その後、CVページにて、計測タグにCVを識別するIDを含めてトラッキングを行う方法である。

◯ メリット

・リダイレクト式よりも障害リスクは低い。何かトラブルが発生したとしても、計測ができないことのみ。サービスへの影響はない。計測ログさえあればデータ復旧できる可能性もある。

・リダイレクト先がないため、サービスのドメインを利用ができる。メールにURLのみを入れる場合などは、この方法で提供したいという要望が強い。

◯ デメリット

・計測の精度が落ちてしまう。計測タグが反応した時点での計測となるため、実際にクリックしたタイミングとタイムラグが発生する。ブラウザの処理速度、ネットワーク状況などの影響により計測タグが動作しない、動作する前にブラウザが閉じる可能性もあり、計測精度が落ちる。

・ランディングページに計測タグを設定する必要がある。おそらく、遷移先を1つにすることはできないと思うので、すべてのページに計測タグを入れる必要がある。

どのように計測しているのか?

では、広告を出稿した場合を例にとって、説明していきたい。なお、計測タグの設置等は実施済みの前提で話をしていく。

【リダイレクト方式】

リダイレクト方式とは計測サーバにてリダイレクト行い、LPに遷移する方式である。

流れとしては、こちらのようになる。

1) 計測URLの発行 → 広告ネットワークにURLを入稿

まずは計測URLの発行である。ここで作成されたユニークなIDをURLのパラメータに付与することになる。

これにより、どの広告がクリックされたのかを判断できるようになる。

2) URLの入稿

このURLを広告ネットワーク側に入稿することで、広告がクリックされた場合、本URLへ遷移されることになる。

3) 広告のクリック → リダイレクト

広告がクリックされた後は、最初に計測サーバへアクセスが行われる。本アクセスにてURLパラメータを取得し、どの広告がクリックされたことを判断し、決められた遷移先へのリダイレクトレスポンスがブラウザに送られる。

4) 誰を識別するためのIDをCookieに付与

クリックの際に、誰がクリックしたのかを判断するためのID(以下、ユーザIDとする)を付与する。こちらのIDはCookieに保存する。保存することで、以後、このIDにて「誰」を判断できるようになる。

5) CV計測

ユーザがCVページ、例えば会員登録や、購入などが想定されるが、そのポイントまできたととすると

コンバージョン用の計測タグが反応する。

その時のアクセス時に、cookieにあるユーザidとCV計測用のIDを取得する。この情報から「誰がコンバージョンをしたのか」を把握できるようになる。

さて、一連の流れを整理するため、計測ログのイメージを確認してみよう。

まずは、CookieにあるユーザIDをキーにして計測ログを抽出してたものとしては、以下のようになる。

1) クリックの把握

本ログにあるパラメータ(clickid=12345)にて「どの広告がクリックされたのか?」を判断することができる。

2) CVの把握

本ログにあるパラメータ(cvid=cv1)にて「どのCVページに到達したのか?」を判断することができる

イメージはできただろうか?特段難しいことをしているわけではない。

ブラウザにIDを付与して「誰」であるのかをわかるようにし、その後、広告を識別するIDをURLに、コンバージョンを識別するIDをCVページに設定することで、誰が、どこからきて、何をしたのかを把握できるようにしただけである。

○パラメータ方式

パラメータ方式とはURLのqueryにパラメータを仕込むことで、計測する方法になる。

流れとしては、こちらのようになる。

まずは、広告を識別するためのパラメータ値を設定することである。1) 計測パラメータの作成

まずは、広告を識別するためのパラメータ値を設定することである。

このパラメータをユニークにすることで、ユーザがどこから流入してきたのかを判断することができる。

2) URLの入稿

このURLを広告ネットワーク側に入稿することで、広告がクリックされた場合、本URLへ遷移されることになる。

3) LPへの遷移 → パラメータ値の取得

LPに来たタイミングで計測タグが反応し、URLに付加されていたパラメータを取得する。これでどの広告がクリックされたのかを判別ができるようになる。

4) 誰を識別するためのIDをCookieに付与

LPに来た際に、ユーザを識別するためのIDをcookieに付与する。繰り返しになるが、これで誰がを判別できるようになる。

5) CV計測

ユーザがCVページ、例えば会員登録や、購入などが想定されるが、そのポイントまできたととすると

コンバージョン用の計測タグが反応する。

その時のアクセス時に、cookieにあるユーザidとCV計測用のIDを取得する。この情報から「誰がコンバージョンをしたのか」を把握できるようになる。ここは、リダイレクト方式と変わらない。

さて、パラメータ方式も一連の流れを整理するため、計測ログのイメージを確認してみよう。

まずは、CookieにあるユーザIDをキーにして計測ログを抽出してたものとしては、以下のようになる。

1) クリックの把握

本ログにあるパラメータ(campaing=age19&media=fb)にて「どの広告がクリックされたのか?」を判断することができる。

2) CVの把握

本ログにあるパラメータ(cvid=cv1)にて「どのCVページに到達したのか?」を判断することができる

仕組みは理解いただけただろうか。

ブラウザにIDを付与して「誰」であるのかをわかるようにし、その後、広告を識別するIDをURLに、コンバージョンを識別するIDをCVページに設定することで、誰が、どこからきて、何をしたのかを把握できるようにしただけである、

計測はこのような仕組みとなっている。リダイレクト、パラメータのやり方の違いはあれど、原理原則は同じである。

繰り返しになるが、この仕組みを理解することが大切である。理解していないのであれば、まずは概要を把握することから始めてもらいたい。

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