見出し画像

【プレイ感想】祇:Path of the Goddess

タワーディフェンス的戦略ゲームというのは、わりと「昔のゲーム」みたいな印象を受ける。個人的にフラッシュゲームでよく目にしたというのもあるのかもしれない。それが2024年にカプコンから出るとは思わないじゃないですか。まあ厳密にはアクションストラテジーなんですけど。

宗を操作して巫女の世代(よしろ)を鳥居まで導く。穢れた鳥居を祓えばクリア。……なんだけど、穢れた村の道は結晶を使わないと世代が通れないのか、結晶を消費しつつ道を引く必要がある。霊道って言ってるし、呪術的な側面でも必要なんでしょうな。それはさておき。

まあそれだけで済めばいいのだが、残念ながら夜には畏哭(いこく)と呼ばれる、いわゆる妖怪が出てくる。こいつらは宗や世代を襲うため、戦う必要がある。そのために昼間に準備する必要があったんですね。

これはクリア後の村。

ということで昼間は畏哭によって穢されてしまった村を走り回り、村人を祓ったり穢れを祓ったりする。穢れを祓えば結晶が、村人を祓えば戦力が手に入る。村人は結晶を使って転職できるので、いい感じに職を割り振って、夜に備える。近距離職や遠距離職はもちろん、壁役、デバフ、回復と、結構職は豊富。まあ最初から全開放されているわけではないので、最初の方はうまくやっていかなければならない。まあ難しすぎないので特に困ることもない気がする。

タワーディフェンス的な観点で言えば、そのうち結論の職が出てくるので、困ったらそれに順次転職させていって、最低限の近接or遠隔職を用意しておくだけでなんとかなる。宗や各種職業が強化された状態で再び同じステージに挑むこともできるので、報酬とかも手に入れやすくなるんじゃなかろうか。

ただそれに関連した悩みとしては、やはりステージの少なさが気になるところとなるか。バラエティーこそあるものの、ステージは限られた数しかない。そのうえ、場合によってはアクションが主体となるステージもある。そもそもアクションで割となんとかしようのある面も多いので、タワーディフェンス特有の試行錯誤なり、ルート構築を考えまくるという時間は少なめに感じるかもしれない。
(まあ、タワーディフェンス“要素”であって、タワーディフェンス“ゲーム”ではないから、TDを期待しすぎたプレイヤーが不満に思う点としては納得がいく。それはそれとしてこのゲームはただのTDではない)

他方で世界設定だとかに目を向ければ、かなり和の要素が作りこまれていることがわかる。モンハンライズとかで培ったノウハウが活きているのだろうか。夜に襲ってくる妖怪じみた異形、舞を主体とする巫女に、武を主体とする護衛。どちらもうまいことタワーディフェンス要素(守らなきゃいけないユニット)と、アクション要素(プレイヤーが能動的に攻撃できる足掛かり)を満たしていてうまいことやってんなーという感じ。

ストーリーも、多くを語らない方式で、文献的なものや絵巻だとかがメインで描かれている。山にある村で過ごす人々を祓いつつ目的を達成する、という流れ上、世代はともかく村人が主張しまくってくると「なんか違うな」となりそう。

こういう形式はゲーム体験においていい雰囲気を作り出すことがあるのだが、反対に伝えかたや表現方法がまずいと、制作側とプレイヤー側で齟齬が生じかねない。絶妙な空気感で組み立てられているなと思う。

とはいえ、村人のバックボーンはそれとなく語られており、想像の余地が設けられている。

近年ではスクエニが『パラノマサイト』とか『Voice of Cards』を出していたり、SIEが『Astro bot』を発表するとか、デカいメーカーが小粒な作品を出して、かつそれがそれなりに当たって面白い、みたいな話も珍しくない。個人的には大作ばかりでなく、そうしたところに開発陣の色が見えたり、「こういうのがやりたいんだな」という要素が感じられたりするので、もっと増えてもらってもいい。

今回はカプコンがTD&アクションみたいな感じで急にポン、とお出しされたわけだが、小ぎれいにまとまっていて雰囲気も良く、かなり面白い。随所にこだわりが見て取れる良作だと思います。いろんなプラットフォームで出ているのもいい感じ。
ちなみにやたら和菓子にも凝っているので、微飯テロ注意。

おはぎ。
琥珀糖。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?