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【プレイ感想】Rise of the Ronin

日本を舞台にしたアクションアドベンチャーは数あれど、なんだかんだ幕末を舞台にしたものは無かったんじゃないかと思う。『憂世ノ志士』『龍が如く 維新』とか?史実ベースで展開される物語は自分好みでよかった。結構歴史が好きなのかもしれない。

外連味少々

この滑空装置「阿鼻機流」は実際にモチーフがあるらしい

歴史物だからといってがっつり渋く調整されているわけではなく、オープンワールドRPG的な文法がちゃんと踏まえられている。ファストトラベル、滑空、ステルス……一通り抑えられている。外連味も多分に含まれていて「時代劇的」といった方が演出的にもより的確かな?しっかりアクションゲームに仕上がっていて満足。

また幕末の志士たちがさまざまな事件や戦争において斬撃を飛ばして戦っていたことは有名だと思う。そうした剣戟アクション部分の作り込みもプレイ感の楽しさに繋がっている気がする。武器種が多いのと、流派ごとにスタイルが変わるのがいいね。

あとは当然すべてが史実通りの展開とはいかないわけで、ストーリーの進みにも、歴史をなぞるだけではない面白さがあってよかった。といっても幕末の歴史をちゃんと把握しているかというと微妙だけど。(個人的に)ニッチ寄りの前提知識が織り交ぜられていることもあって、「幕末は人にしか興味ない」「歴史の話はそんなに好きじゃない」みたいな人には向いていなさそうな気がした。現実に即した部分を「あるある」「ここ習った」と思いつつストーリーを楽しむという点も特徴的な部分ではあるので。でもそういう人はそもそも買わねえか!

オープンワールドに思うこと

ところで、本作のオープンワールド要素が悪いことだとは思わなかったけど、正直あってもなくてもあんまり変わらんかった気がするな……とも思った。確かに街を歩き回って、マップ探索中に攘夷派と佐幕派が揉めてたり、みたいな突発のクエストがあったり、ふらっと立ち寄った場所で悩み事を解決してあげたり、みたいな楽しさはあるけど。でもそれってオープンワールド特有でもないなぁ、というか。

そもそも自分がオープンワールド自体をあまり高めに評価してないところがあるかも。究極を言ってしまえば、オープンワールドRPGのクエストは8割お使いだと思っている節もあるし。RPGに恨みでもあるんかコイツ?

思うに、オープンワールドって、「フィールド型じゃ遊び場が足らん!」というタイプと、「世界に息づく人やモノや環境のリアリティを」というふたつの軸がある気がしている。本作は後者によりフォーカスしたゲームなのかな、という感想。

時代劇って枝葉こそあれど一本道で紡がれるストーリーなので、サブクエの「脇道に逸れた感」はより感じやすいのかも。逆にそれはオープンワールドの醍醐味でもあるので、バランスを取るのが難しい。

いっそ倒幕/佐幕で入れるエリアががっつり変わったり(門前払い、敵対etc…)というのも面白そうだなとは思ったが、不便を強いるデザインにもなりかねない。なんだかんだ本作くらいの塩梅が実は最適解だった説はある。

総評

色々言いはしたものの、「幕末舞台のARPG」としてはこの上ないほど感触は良かった。一人の浪人となり、幕末の横浜、江戸、京都を駆け抜ける感触は、ストーリー、アクション両面からもいい体験。時代劇的なファンタジーも備えつつ、コエテクならではのしっかりした時代考証に支えられた街並みは、一見の価値あり。偉人とも付き合えるのもいいね。

英雄色を好む

気になった点をあげるなら、ストーリーのオリジナル要素がやや浮き気味に感じられたところか?幕末の人物たちが魅力的で、主人公も透明気味のキャラクターだと、突如放り込まれた内容のようになってしまう(実際史実ベースなのでそれはそうなんだけど)。中盤もちょっと空気薄めだったし。
でもそれくらいでもいいのかもしれない。濃すぎて史実の内容を食われても困るし。終わってみるとあっさり寄りだったな、と思うくらいかな?ここは個人の好みっぽい。

アクションも良かった。パリィ重点の剣戟は結構シビアだけど、それなりに踏み倒せる。加えてファストトラベルや装備の自動分解/売却とかスキルツリーとか、QoP(クオリティオブプレイ、今作った)も心地よく、満足です。

オートランの馬はすべてをなぎ倒して走っていくけど。

ジジイがカッコいいゲームは名作の法則。

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