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【プレイ感想】Stellar Blade

ゲームの開発には背景が伴う。開発者の思想だったり、国の情勢。ほかにもゲームからの引用、オマージュなんかがそれにあたる。結局のところ、何もないところから何かを生み出すことはほとんどできないのだから、そんな「影響」はごく真っ当な現象だといえる。これが広いムーブメントとかになっていくと作風とかジャンルに繋がっていくのかもしれない。

話を本作に戻す。制作会社はコンシューマゲーが下火がちな韓国でスマホゲームを作っていた会社SHIFT UP。その代表のキム・ヒョンテ氏は自身のコンシューマゲーム体験を活かして本作のディレクターとして制作を指揮して、めでたく発売という感じ。めちゃくちゃ端折っているので、詳しく知りたい人はPS Blogとか見るといいと思う。

全然関係ないけど、こういう開発者インタビューはゲームに直接関係なくとも面白い話が聞けたりするので結構好き。

でもそんなの関係ねぇ

でも関係ないんだよね遊ぶ時って。別にどこが開発してようがRPGはRPGだし、アクションはアクション。作り手毎の作風はあって、それを基準にゲームを買っていたとしても、それはもっとゲームを踏み込んで知っている人向けの、一段階上の購入基準になるんだと思う。

そうしたものをよく自分は「文脈」と呼んでいる。そんな文脈を抜いたときにStellar Bladeにいったい何が残るのかを考えると、それは「綺麗にまとまったアクションRPG」になる気がしている。

小奇麗にまとまった作品

地球は「ネイティブ」と呼ばれるクリーチャーに占領され、荒廃していた。人類は宇宙コロニーに追いやられており、地球を奪還するために、空挺部隊に所属するイヴは地上に降り立ち、そしてその任務と旅の中で真実を知ることになる……という話。ポストアポカリプス世界をテーマにしたアクションゲームとしては珍しくもないストーリーではなかろうか。

人類の営みはいつしか自動化され、代替可能なものは全部置き換わっていく。そんな「取って代わる」という事象について、いい感じにストーリーに落とし込みがなされているなと感じた。そういう意味では、現代を象徴している作品といえるのかも。

あとやっぱり目を引くのは主人公イヴのビジュアルか。よくポリコレに屈しなかったとか言われてるけど、そこまで考えてるのかは知らない。まあいろいろ難しい時代ですからね(逃げ)
欲を言えば後ろに結んだポニーテールが欲しかったなぁー、とか、クラシックなメイド服とかあってもいいなぁーとかは思ったけど、ビジュアルについては文句ないです。逆に文句つけるか。

ほかにもアクション面はパリィを取りつつスキルや攻撃を叩き込む、最近の剣戟アクション風。攻撃の種類が結構あるので、□連打△で締め、以外も沢山使ってみるのが吉。長押しとかもあってかなり種類がある。
遠距離の攻撃手段もあるけど、弾数に限りがあるから、遠くから殴るだけ殴ってはい終わり、とならないデザイン。相手は一生撃ってくるのに

1割も覚えてない。

システム的にはレベル制ではないものの、敵をしばいたりクエストクリアでたまるポイントを使ったスキル解放・強化だったり、装備品によるステータス増加なんかでカバーできる。できることがプレイにつれてどんどん増えていくので、習熟や難易度の曲線がうまいこと噛み合っている感じ。

またフィールド探索はマップ制。とはいえそれぞれのフィールドは結構大きめ。オープンワールドと言うと語弊があるが、それに近いプレイ感はある。いろんなもんが置いてあるので探索の楽しみもあるんじゃないでしょうか。終盤とかになると余った素材が出てくることも多いので飛ばしがち。衣装目当てならちゃんと探しておくといいですよ。

そう……

小言をいうと、泳ぎの操作はちょっとやりづらさを感じた。あとアスレチック部分もあるのだが、モーションとの兼ね合いか、変な慣性が働くときがあった印象。思ったよりインタラクトできるオブジェクトの判定が小さい感じで、「ここまでいかないと持って(開けて)くれないのか」と思うことは何度かあった。あとディレイ攻撃やめろ。マジでガード釣られるから。

影響は受けずにいられないものだから

……とここまで書きながら考えたけど、本作の感想を探すと、やっぱりどことなく既視感ばかりがよぎってしまう。これは自分が、「Stellar Bladeは名作にインスパイアされた作品だ」という文脈の上で本作を見ているから?

でもなんだかんだありつつも、本作をパクリゲーと称するつもりは全くない。それは、影響を受けた様々な要素をそのまま取り入れるのではなく、よく混ぜこまれ、綺麗に昇華されているからだ。
確かに作品特有の色や癖というものは薄目ではある。それを「別作品の文法が活かせて取っつきやすい」と思うか「それなら別のゲームをやって満足する」と思うかが評価の分岐点になるんだと思う。自分は概ね前者よりの気分だった。本作の「文脈」を踏まえて、SHIFT UPにはこれからもぜひコンシューマゲーを出して欲しいところ。

なんかプレイ感想という割に余計なこともいろいろ書いた気がするが、そもそも感想だったかどうかも怪しい。感想は、「それなりに面白かった」で。
あ、衣装はサイバーマジシャンかデイリーフォースが好き。ボタンも捨てがたい。

これはデイリーフォース。

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