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【プレイ感想】ナツノカナタ beyond

プレイ感想とは全然関係ないんだけど、本作をプレイしてから感想noteを書くまでにPCを買い替えたため、スクリーンショットが全部消えた(サルベージを忘れていた)。少し残念な気持ちになっている。ので以下の画像はすべてストアページ由来。

パソコンを通じて繋がった、終末世界を旅する「ナツノ」と通話しながら旅を見守る話。 もともと無料ゲーとして2022年に公開されたものの完全版。スチルやBGMが増えている……らしい。あとキャラも増えている。

終末世界で交わされる会話はときに危機感が薄く、それでいて哲学的。
終わりゆく世界の中で、少女たちがどういう理由で生きていくのか、そして次第に明かされていく真実にどう向き合うのか。 その選択や決断を見守る時間は、ド派手な思い出にこそならねど、きっと心に残る瞬間となるはずだ……と思う。 道の半ばで、そして夏の彼方まであてどなく旅をするナツノと、出会う少女たちとのひと時を見届けてみるのも、また一興だろう。

キャラストーリーのつくりも好みだった。終末世界をどこかのんびり旅していく中で、ひょっこり会う人々。別れた後でも、お互いに旅をしているのだから、そりゃあうこともあるかもね、みたいなデザインが好きだった。
ただメインストーリーを進めている際には、あんまりキャラストーリーを引かなかった。メインストーリーの進行フラグのほうが優先されてそう(そのうえ、めちゃくちゃメインストーリー進行用のアイテムを引きまくる気がする)。まあエンド後にじっくり回収できるので、あまり気にする必要もないが。

beyondで追加されたふたり。

ゲームとしては、設定の活かし方が絶妙だと思った。
ふとパソコンを引っ張り出したらパソコン越しにナツノの世界につながり、その様子をうかがえるようになるというのは、まさに我々プレイヤーが『ナツノカナタ』を起動したのと同じ状態といえる。

とはいうものの、あくまで状態が似通っているだけで、厳密には当然「私」は「プレイヤー」ではない。このメタ的な状況の類似はそのままプレイフィールにも効いた。自分はモニター越しにナツノの世界を見ている「私」なのか。あるいはその世界を劇中劇的に鑑賞する「プレイヤー」なのか。その境界はあいまいですぐに融けあう。

そのことによって、荒唐無稽な話にもかかわらず、妙に実在性を増している。そしてそれを利用した演出。 ゲーム中の探索はTRPG(CoC)的。ゲームブック的、ローグ的ともいえるのか? とにかくコマンド入力(選択)式アドベンチャーとしても「パソコン越しにナツノに話しかける」という臨場感を増していた。 簡単で単純なプレイ感だが、それが表現する世界はせつなく、無性に引き込まれる。冬が訪れても、春がその声を聞かせても、この“箱”の中には夏が彼方まで満ちている。

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