【プレイ感想】ゼルダの伝説 知恵のかりもの
ブレスオブザワイルドとかティアーズオブザキングダムは3Dオープンワールドアクションとして名を馳せた作品となった。ヒットした理由はさまざまあるだろうが、その中の一つとして「当たり前を見直す」というコンセプトがあった。
本作も見下ろし型ゼルダの当たり前を見直すというコンセプトで作られたらしく、なるほど既存の文法からは外れるところがあるなという印象。とはいえ、根底にある謎解きとアクションは竜骨として、作品を変わらず支えているのだと思う。そうやって味を変えつつも、ちゃんと芯が貫かれているゲームはいいゲームなんだろう、とも思う。
本作は、リンクがゼルダを助けてくれたものの、裂け目に飲み込まれてしまうところから始まる。命からがら逃げだしたものの、ハイラル各地が裂け目に飲み込まれてしまったので、なんとかして住民やリンクを救う冒険に出ましょう、という話。3日で世界が終わったり、剣の力で4人に分身したりという変わり種ではないものの、ゼルダが主人公というのはこれが初めてか。
ゼルダが主人公なので、武器を振るうといった武闘派な戦闘や解決方法が取れない。ということで、ひょんなことから手に入れた「トリィロッド」を使って、借りたものを召喚する。利息無し。というかそもそも返さない。
それだけならまだ「じゃあサモン系の大召喚バトルとか魔物を活用して進むゼルダなんですね」という感じだった。それが「すげー!」という感想に変わるのは、壁を越えてからだった。
見下ろし2Dアクションで壁というのはなんとなく「越えてはいけないもの」という印象を抱く。今のままで行ける場所、まだ行けない場所という、暗黙の“取り決め”が設定されているように感じていた。そんなルールは決められた気になっていただけだった。
ステルス面の兵士は、見つかろうが捕まらない高所に行けばいい。仕掛けはオブジェクトを無理やり移動させて解けばいいし、壁は邪魔なら越えていい。制作サイドの想定がどこに置かれているかは知る由もないが、想定の範囲が相当広いか、あるいは想定するまでもない(壊れない範囲なら、どうとでもなるだろう)という感じでデザインされていたのかもしれない。
だから「わかんねー」となったときも、なんか色々試すことで解決できるという面白さがあるのはずっと楽しめたポイントだった。ただまあひとつ最適解っぽいのを見つけると、それで満足して擦りがちにはなっていた気がする。そういう意味では、ちょっと面倒だったものの、オルディンとへブラ、ゾーラあたりの環境変化は新鮮な部分だったといえるか。
自由度という意味では、ブレスオブザワイルドやティアーズオブザキングダムに負けず劣らずなゲームではある。とはいえ一通りクリアしてみて思うのは、このスタイルは見下ろしのスタイルでしか成り立たなかっただろうなということ。BotWとかの頭身でベッド重ね始めたらシュールだしな……
あとトゥーン的な表現だから、よく考えると突拍子もないことも、割と受け入れやすいというのもあるのかも。フィールドを分かつ木の上を渡り歩く、というのは、「記号的表現」が明示されているから成り立っているのかもしれない。
ところで、ゲームに限らずネタバレという行為は基本的に好まれない行為ではあるものの、SNS全盛のこの時代においては、「別解置き場」として他人の解法を見てみるのも面白いかもしれない。ベッドを飛ばしたり、水の塊を使ってみたり、なんかグリッチしたり。そういう意味では、TotKのスクラビルドに近しいところもあるかもしれない。「やりたい放題」という言葉がこれほどまでしっくりくるゲームもない。
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