【小説】アライグマくんのため息 第1話 でかい手②
「消費税込みで3,700円です。」
と、バイトの「あほの酒井」が言った瞬間、オレは奴に向かって、すかさず唾を吐いた。運よくそれは、奴の口の中に命中した。「あほの酒井」は、まったく気づかず、「ありがとうございました!」と、にっこり笑ってお辞儀した。
オレは、奴に復讐果たせた喜びで、思わず包装紙の中で、ガッツポーズをとってしまった。「あほの酒井」は、自分の身に起きたことなどつゆとも知らず、ニコニコしながら、オレ様と「でかい手」を持つオンナを見送っていた。
ぬいぐるみのつばは