【小説】アライグマくんのため息 第1話 でかい手①
それは、ある冬の夕方だった。
オレは、他の奴らと一緒に、新橋駅にある「ファンシーショップ・たなか」の店先に山積みにされて、もがき苦しんでいた。
そうだ、それは、あの、「アルバイトの酒井」のせいだ。
あいつは頭が悪い。商品をきちんと並べて飾った方が、物が探しやすく、店の売り上げにつながると言うのに。そんな基本的なことすらわからないのだ。
もし、オレが、ショーウィンドウに飾られていたなら、店が繁盛したに違いないのだ。
言うまでもないが、オレは、この店の中で、一番「プリティ」と