【小説】アライグマくんのため息 第5話 謎の男「小口君」②
目的地に着くまで、オレは、リカのお手製のお弁当とともにリュックサックの中で、ゴロゴロと転げまわる羽目になった。一体奴らはどこを走っているのだろう?車がやけに揺れるのだ。そのたびに、リカのリュックサックが上下左右に揺れるもんだから、たまったもんじゃない。くそぅ。こんなことなら、家でのんびりくつろいでいればよかった。
そんなことを思いながらも、退屈しのぎに俺は、「小口くん」とリカの会話を盗み聞きしようと試みた。が、聞こえてくるのはリカの、いつもより少し高いトーンで話す声ばかり。