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【「THE ONE」制作記①】強く生きるとは何か

はじめに

今年の9月に、僕が理事をしているNPO法人LES WORLDの大きなイベントがあります。それは今まで訪れた孤児院の子ども達を日本に招待して、人種も言語も宗教も違う一つのステージ「THE ONE」を作るというもの。
実際に来る予定の子ども達は、タイ・カンボジア・インド・ネパール・モザンビーク・ザンビアから二人ずつ。
ちなみに僕はそのステージの舞台監督兼演出チームリーダー兼ミュージシャン。正直舞台のことなどほとんどわからないので、みんなに助けてもらいながらやってます。

で、このTHE ONEの開催にあたって、めちゃくちゃ僕の中で一番重要な仕事だと思っているのがテーマソング「THE ONE」の作曲。

ここ数ヶ月毎日いろんな曲を聞いて頭を抱え、一ミリも進まなかったのですが、流石にそろそろやばいと思い、覚悟を決めて創り始めることにしました。
で、一人で黙々と作っていると僕は病んでしまうので、こうして制作記を書いている次第です。

ほぼブレストみたいになって読みにくい文章ですが、よければお付き合いください。


「どんな逆境も超え、強く生きる」


このTHE ONEというステージのメインメッセージは「どんな逆境も超え、強く生きる」というもの。これは中心となるメンバーで4月頭に、深夜2時くらいに考えたやつ。

大体色んな国から子ども達を呼んで、何かやる時のメッセージになりそうな「一つになろう!一緒に手を繋げば一つになれるさ!」みたいなやつだけには絶対僕はしたくなかった。なれねえからこんな世の中になってんだろうが!って言いたくなるもんね。

ということで必然的に、楽曲「THE ONE」のテーマもこのテーマになる。
テーマがわかってるなら書けるじゃんって思った1ヶ月前の僕。甘いな。
1ヶ月後、何にもかけてねえぞ。

流石にこのまま毎日ちょびちょび考えてたんじゃ書けやしないと思い、昨日の深夜3時、とにかくまず歌詞の原石達を拾い集めるために、ノートを開いてペンを握り、でっかく「どんな逆境も超え、強く生きる」とページの真ん中に書いてみた。

そこから5分。歌詞など出てきやしない。
だから、このメッセージを自分なりに砕いてみることにした。

まず「逆境」ってなんだっていうのを考えてみる。
これはまあわかる。子ども達の話で言えば、「スラムでの生活」「親がいないということ」「貧困」、これまで関わってくれた人たちのことを思うなら「いじめ」「家族の不和」「挫折」「病気」「障害」とか。簡単に言えばとにかく人生においての苦難のこと

で、「逆境を超える」とはどういうことなのかを考える。
これもわかる。というよりLES WORLDでずっと言ってることだ。
「昇華」である。自分の辛い経験や、苦しみを「前に進む力」に変えること。
もっと言えば、僕は、乗り越えるというわけではなくて、その辛さ、悲しさ、苦しみを自分というものの要素にし、自分の強さ、優しさにすることだと思っている。

さて後半の「強く生きる」とはどういうことかを考える。
これは自分に置き換えてみたらわかった気がした。僕強く生きてると思う
ただ生きてない。ぬくぬく生きてないもん。
昇華して、また新しくしんどいことが出てきて、それを昇華して、それでもなお月に2日くらい「死にたい」と思う。この世の中クソだなと思う。
でも生きてる。僕なりに生きてる。その生き様はただ生きてるだけかって言われたら、強く生きてる方だと思う。
そして、きっとこれは僕だけじゃない。「より良く生きたい」と願うすべての人は強く生きてるし、そもそも強く生きていないと、生きていけない
「強く生きてるぞ!」って思ってなくても、実はみんな強く生きてる。と僕は思う。

で、じゃあなんでそんなしんどい世の中を強く生きなきゃいけないんだろうか。ていうかなんでこんなしんどい世の中なのに死なないのか
「死ぬのが怖いから」っていうのは、「強く生きる」には弱いなって思う。で、色々書いて考えてみて、結局シンプルに「生きていて良かったと思う瞬間があるから」な気がした。
しんどいけれど、辛いけれど、乗り越えなきゃいけないものが多いけど、「生きていてよかった」と思えるような瞬間が必ずあって、それは死んじゃったら巡り会えない瞬間。
生きていてよかったって思える瞬間は人それぞれで、「存在していいと思えた時」「愛を受け取った時」「何気ない瞬間が美しいと思えた時」「新たな自分と出会った時」とかたくさんあると思うけど、とにかくそういうの全部ひっくるめて、「生きていてよかった」と思える時が度々人生の中であるから、その瞬間を糧に生きるし、またそう思える時のために命を繋いで強く生きてるんだと思う。

最後に、「どんな逆境も超え、強く生きる」がなぜ「THE ONE」に繋がるのか考えてみた。
「どんな逆境も超え、強く生きる」っていうのは言ってしまえば、個人の話。これが、わざわざ「THE ONE」で子ども達と一緒に届ける意味がどこにあるのか。

ここが繋げられると、この曲がTHE ONEというタイトルで、THE ONEというステージでやる意味ができるのでちゃんと考える。

言語も違う、人種も違う、信仰も違う、バックグラウンドも違う。到底「一つ」ではない。

それでも僕らに共通することは、「どんな逆境も超え、強く生きる力」
その力があったから、僕らは出会えて、愛しあえて、一緒に歌を歌えて、「生きていてよかった」と思える瞬間を分かち合える。そしてそこから、これまで「独りの強く生きる力」だったものが、「共に強く生きる力」になる

僕ら人間は、手を取るだけじゃ一つにならない。同じ人間など一人もいない。
けれど、「強く生きる魂の結晶」になることはできる。独りで強く生きてきた誰もがそうなれる
そして、その結晶になれた時、僕らは確かに繋がり、「一つ」になる

おお〜〜〜、ざわん〜〜〜〜〜!!!
まあ、まだここまでで何にも歌詞かけてないし、メロディーのアイデアは1mmもできてないけど。
またそれは次の制作記で。



余談「君たちはどう生きるか」


一旦この深夜テンションで、酒も入れて考えたことが果たして正しい感覚なのかふと不安を覚え、何か見るべき作品があるのではないかと思った結果、「君たちはどう生きるか」を見に行くことにしました。

あまりに「よくわからなかった」と言う声を聞くので、身構えていったけど、メッセージはわかった気がします。
「この複雑で多面的に絡み合う、醜悪さも残酷さもある世界を、自分を、人を認め、美しさを見出し、勇気を持って生きていかなければいけない。それを私(宮崎駿)はこう生きた、君たちはどう生きるか」

そんなメッセージと、問いかけを少なくとも僕は受け取りました。

ただ、意味ありげなワードとか絶対何かのメタファーとしてのアイテムとかめっちゃあって、それを一個一個気になっちゃったので、最終的にガイドブック買いました笑
(多分一個一個は宮崎駿にしかわからないんよね。自分も僕の実体験で書いた曲なんて、僕しかわからないもんって思った)


ちなみに自分が音楽を書くにあたって軸としている部分が、「この生きるのも大変な世の中で、それでもより良く生きようとする人の月明かりになる曲を書く」というところで、なんだか勝手に近いものを感じてました。


やっぱり「どんな逆境も超え、強く生きる」というのが、その問いかけに対する一つの答えになりうるし、被るところもある。
THE ONEという曲はそのことを歌う曲にしようとやっぱり思いました。







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