中学受験 ことばの教室 連体詞

登場人物
「生沼くん」最近上のクラスに上がってきた。ちょっと口が悪い。
「天野くん」のんびりやで算数得意。国語苦手。
「久保くん」まじめに取り組む子。つっこみが好きなところがある。
「柳下さん」大人じみていて気がまわる子。
「谷口さん」男の子には強い。頑張り屋でもある。
「田島さん」成績優秀だけれど、笑い上戸かもしれない。

先 生:「はい、始めるよ。これまで名詞、動詞、形容詞をみてきたわけだね。

今回は連体詞だね。テキストの項目には「連体詞、副詞」と対になっている
けれど連体詞だけにします。

前回と同様に「連体詞」という意味だね。これがわかってないとしっくりと理解ができないよ。当てて欲しい人手を挙げて」

生沼くん:「無理だよ」

先 生:「では、〈連〉の訓読みはなにかな」

天野くん:「〈つれる〉かな」

久保くん:「〈つらなる〉もあるよ」

先 生:「では、何に連なるかだね」

生沼くん「あ、それか、熟語の組み立てだ。でも〈体〉ってなんだ」

先 生:「詩や短歌の表現技法で習ったよ」

柳下さん:「体言止め?」

谷口さん:「じゃ名詞じゃない」

先 生 :「ということで、連体詞は《名詞に連なる言葉》という意味だ。この連体詞には下に名詞しか来ないんだ。そして修飾するはたらきをする。これが大事なポイントだよ」

久保くん:「と言われても、じゃ名詞は、動詞は、形容詞は、下に何が来るのって習ってないよ」

先 生 :「いいとこつくね、久保くんは。そのとおりなんだ。ちょっと外れるけれどやっておこうか。多分中学校でもあまりやらないだろうからね」

生沼くん:「なんでですか」

先 生 :「簡単にいうと、文法は覚えることが勉強だと思ってるよ。久保くんみたいな疑問はスルーされて終わりだね。
では名詞からいくよ。名詞を使った文を挙げるから、どんなはたらきをしているか考えてみて。
①桜が咲いた。
②家族で桜を見る。
③4月1日は新学期が始まる日です。

名詞は、何に連なるかは重要性が低くて、文中でどんな働きをするかが重要だよ。
①は主語、
②は修飾語、
③は述語
以上のように、名詞は三つのはたらきをするわけだ。
それに比べて、連体詞はたった一つ、名詞(体言)だけを修飾するはたらきがあるだけだ。」

天野くん:「なるほど。

先 生 :「それでは連体詞にもどるよ」

生沼くん:「先生、質問は?」

先 生 :「質問大歓迎」

生沼くん:「連体詞は名詞を修飾するのはわかりましたが。でも名詞を修飾するのは連体詞だけですか」

天野くん:「生沼もいい質問するな」

先 生 :「確かにいい質問だ。では例を挙げるよ。名詞、形容詞、形容動詞、動詞の順番だよ。

①私の本
②明るい部屋
③静かな教室
④遊ぶ子供たち

それぞれが後ろに続く名詞を修飾しているね」

天野くん:「生沼くん、これでいいかな」(声真似で)

生沼くん:「はいわかりました天野センセー」

先 生 :「さて連体詞を見ていこうか 
ありがたいことに連体詞は見分け方が簡単だ。

①「〜の」型 :この、その、あの、どの、ほんの
②「〜る」型 :いわゆる、あらゆる、ある(人)、とある(場所で)
③「〜な」型 :大きな、小さな、いろんな、おかしな、
④「〜た・だ」型:たいした、とんだ、大それた
⑤「〜が」 型:わが、われらが

順番をいれかえてちょっと工夫しよう。
「ただ・の・る・な・が(型)」
ただ、乗、る、な、が型とでも覚えればいいかな。

他に気になることがある人はいるかな」

生沼くん「覚えられる気がちっともしない」

天野くん「生沼と意見の一致は珍しい」

田島さん:「先生、ちょっといいですか。〈大きい〉と〈大きな〉はわかりにくいです」

久保くん:「〈大きい車〉と〈大きな車〉って意味は同じだよ」

谷口さん:「名詞を修飾してるから、はたらきも同じよね」

生沼くん「暗記しちゃえ」

先 生 :「では説明するね。連体詞は活用しないんだ。〈大きな〉は変化なしだよ。形容詞〈大きい〉は、〈大きく・なる〉とか〈大きかっ・た〉〈大きけれ・ば〉とかになるんだ。
漢字〈大〉に送りがながつくと、
①〈大きい〉は形容詞
②〈大きな〉は連体詞
③〈大きさ〉は名詞

以上よろしく。



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