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将棋Tips #16 3手詰の解き方 ③

前々回の最後に「次回は次のステップについて話す」と言ったにもかかわらず、前回は全くソノことに触れないで終わってしまったので、記事を改めてお話しすることにします。つまりは「応用編」です。

◆ 読む手数を出来るだけ減らして解く方法

前回までの記事でご紹介したのが「ベタ読み」で「可能性のある手を全て読む」という方法でした。が、その反対に「なるべく読む手を少なくしよう」というのが今回のコンセプトです。

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上は前回と同じ問題ですが、コレを「なるべく読む手を減らして」解いてみたいと思います。

<局面把握の段階で工夫してみる>

局面がどうなってるのか? を掴むこと自体は外せません。コレは、局面がどんなに複雑になっても同じです。ただ「把握の仕方」を工夫することで、読む手数を減らすことが出来るんですね。

「玉の位置と利き」「種駒の位置と利き」「玉の逃げ道」「守り駒をカベとして利用できないか?」を見るのは基本なのですが、ここでは、もっと有効なと言うか「手っ取り早いポイント」があるんですね。前回まではベタ読みの基本を説明していたので「あえて触れなかった」のですが…。

もし、23の銀が盤上に無かったら、23へ金を打って詰む

局面把握の段階で、このことに気づくことができれば、この問題を解くための方針が「一気に」立ちます。つまり「銀を消してしまって、金を打つ手を実現する」です。

もちろん、コレは、あくまで「方針」なので、方針通りの手順が実現できるかどうかは別問題ですし、実戦だと「立てた方針に沿う手順」自体が、そもそもムリだったとか、そういうことは多々ありますが、少なくともひとつのアイデアとして採用するくらいの価値は十分ありそうですね。

この「無かったら〜な駒」のことを「邪魔駒(じゃまごま)」と言います。実戦でも、玉を詰ます段階で、この「邪魔駒を消す手」をよく見ますし、詰将棋だと「いちジャンル」と言っていいくらいに頻出します。

「もし〜だったら〜で詰む」というのは「邪魔駒消去」に限らず、局面把握の際に考えておくと「読む手数を大幅に減らす」ことが出来る可能性があります。本問には当てはまりませんが「香車や桂馬がこの地点に利いてなかったら」とか「この駒を〜で取ってくれたら」とか、そういうアイデアを局面把握の段階で、いくつか持っておくのは、かなり有効な手段だと思います。

少し「脱線」してしまったので本題に戻ります。

「銀を消して金を打つ」のが方針なので、初手に金を使う手を読んでいくのは「後回し」にします(方針自体が「間違い」かもしれないので、全く捨ててしまってはいけませんw)。すると、後に残るのは「銀の王手」ですね。

次に「▲23金で詰み」を狙うので、玉の位置は「13のまま」か「12」に居てくれた方がイイんじゃね? ってことになります。というわけで「▲14銀成」と「▲22銀不成」も後回しにします。

残ったのは「▲12銀成」ですね。局面把握の段階で、ココまでやっておけば後は、この手から読んでいけばオッケーです。玉方の応手が三種類あって、それぞれに詰む手順があるのは前回にお伝えした通りですが、正解にたどり着くまでに読んだ手を、大幅に削ることができましたねー。

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上は、他の記事でも取り上げたことのある3手詰の問題ですが、コレも局面把握の段階で「方針」を立てます。

玉方の守り駒の金が居なかったら、32へ金を打って詰み

42の金をいきなり消してしまうことは出来ないので、実際には「金に働きかけて利きをズラす」のが基本方針ということになりますね。とすると、桂馬を使う王手から読むのが「方針に沿った順番」で、初手の「▲43桂」に、41へ玉が逃げれば、▲51金で詰み。21へ玉が逃げれば、▲22金で詰み。残るは、桂馬を金で取る手しかありませんが、金が動くと…

▲43桂△同金▲32金 まで3手詰 が正解です。

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コレも、局面把握の段階でひと工夫してみましょう。「もしも〜だったら」と考えるわけですが、今回は、どうしましょうか?

もしも、13の地点に利きのある、守り駒の桂馬が居なかったら? 13の地点へ金か銀を打ち、玉を下段へ落として角を成れば詰む…確かにそうなんですが、桂馬をスグに消してしまう手は、現状ありませんねー。

玉しか利いていない22へ駒を打って攻めるのが有力そうなのですが、いきなり「▲22金」とすると角の利きを遮ることになるので、△13玉から逃げられてしまいます。何とかソレを防ぐことは出来ないか…

もしも桂馬が13の地点に居たら、玉が上の方へ逃げられなくなる

今回はコレで行ってみましょう。いきなり消すことは出来なくても、13へ動いてもらうことは出来そうです。さっき、22へ金を打つ手がありましたが、ソレを実現させる方向で考えてみます。そうすると「▲13銀」と打って桂馬に取らせる手が自然と浮かび上がって来ます。というわけで、

▲13銀△同桂▲22金 まで3手詰 が正解です。

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読む手数をできるだけ減らして解く方法として「もしも〜だったら」と考えて、事前に方針を立ててから解いていくやり方を紹介してみました。

いかがだったでしょうか? 「読みを省略する方法」はコレだけではなく、他にもいろいろとあるのですが、ひとつのコツみたいなものとして知っておいていただければイイかな? という感じですねー。ではでは。

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