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4文小説 Vol.11

もう17年前のこと、近鉄の球団経営からの撤退を発端としたプロ野球再編は球界への興味が急速に薄れるターニングポイントとなり、球団名も変われば本拠地も移ることで「ブルーウェーブの消滅」と受け止めた自身の感覚とは裏腹に、当時の世間が「犠牲者」としてフォーカスしたのはもっぱら近鉄の方で、プロ野球チームとは地域ではなく親会社に帰属するものなのだと、はっきり目の当たりにした。

年間パスでグリーンスタジアムへ通い詰めた少年時代、親戚一家と一緒にスタンドに腰かけ、スパイスがクセになるチキンスティックという名のホットスナックを頬張ったこともあったが、やがて一家とは絶縁状態になり、先日は人伝に訃報を聞かされることとなった。

連日の応援など何年ぶりか、一進一退の攻防が続き5試合中4試合が1点差決着、3連敗を喫して追い込まれながら、接戦をものにして週末まで望みを繋いだ。

2年連続最下位から四半世紀越しの優勝に導いた指揮官は25年前の正捕手、「神戸で決めたい気持ちもある」の言葉が嬉しくて、バファローズとなり京セラドームが本拠地となって以来初めて応援することにしたチームが神戸に帰ってくる週末、あのチキンスティックを食べたくなっている。

―猛牛が青波だった頃


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