脳内時計 運動神経が悪いということ Vol.3
年度末、社会人としての年の変わり目も14回目を迎えた。あとひと月で、またひとつ歳をとる。いよいよ30代も終盤というのに、相も変わらず辛苦は尽きない。好きなことに興じる時間がささやかな幸せだが、それだけでは生活が立ち行かない。座右の銘は少欲知足。自分はそれで良くとも、価値観は十人十色だから難しい。
仕事とは、私の悩みの種、自己肯定感が底を打つ時だ。正直なところ仕事が嫌いという人ならたくさんいるように思うが、大きな分かれ道になるのは「出来るか出来ないか」なのだろう。嫌いと出来ないの二重苦に苛まれるぶん、私の仕事は人一倍しんどいのだと思う。こんな状態で延々と働き続けても、関わる人々にとって迷惑で、自分自身にとっても不幸だ。そんな想いから、あと18年あまり、55歳になれば退職しようかと算段している。全くもって、退職年齢を70歳まで引き上げようかという時流に反するが、自分にはそれが適度、いや限度だと思っている。
私が密かに脳内で刻んでいる時計は、間もなく午前10時30分に差し掛かろうとしている。55歳での退職。この秘めたる夢が叶えば、24歳で就職した私の職歴は32年間となる。1日24時間に当てはめると、いまどのあたりなのだろう。そんなことを思いついて苦手な計算を弾くと、1年間は45分に相当することがわかり、2年前の時点でやっと午前9時だった。まだまだ、朝っぱら。これが大晦日なら、年越し気分にはほど遠い。それなのに、もう夕暮れ時かのように疲弊してしまった。
運動神経が悪いことが遠因となって、四苦八苦の仕事。いかに社会通念上は早かろうとも、一足お先にリタイアしたいと思う。たとえ質素な暮らしでも、人並みより長く余暇の時間が与えられることは、私にとって生涯収入を増やすこと以上に価値が高い。あと2年間の辛抱で、時計は正午に達し、社会人生活は後半へ折り返す。先のことを考えれば気が遠くなるから、まずは近い目標に意識を向けるとしよう。