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4文小説 Vol.4

年が改まって100日あまり経過したころ、私と母は親子同時に記念日を迎える。

48年前のその日に結婚した両親はなかなか子供に恵まれず、不妊治療を経た母がやっと独り子の私を産んだのは、ちょうど10年後の同じ日だった。

月と日の数字を足せば11、フットボールの虜になることは運命づけられていたのだろうか、19歳から暮らす現住所の郵便番号下2桁でもあり、マジックナンバーとでも呼びたくなる不思議な縁を感じる。

1年前、残り2つだけの容器にプリントされた数字を見て母が思わず買いたくなったという「ア・ラ・カンパーニュ」のプリンは、ささやかな奇跡の甘味がした。

―4月7日のこと

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