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桜をめぐる冒険
久しぶりに旅行に行ったのでちょっと書いてみました。
旅行記などというたいそうなものではありません。
まあなんというか、
日記といふものを、してみむとてするなり。
というやつです。
出発まで
えー、
日本三大桜というのがありまして、
北から順に
・三春の滝桜(福島県)
・山高神代桜(山梨県)
・根尾淡墨桜(岐阜県)
何年か前に根尾の淡墨桜を見たとき、いつか残りの二つも見てみたいと思っていました。
その残りの二つのうちの一つで、樹齢2000年とも言われている山高神代桜。
これが今回の旅行の一つ目の目的地です。
もう一つは戸倉上山田温泉。
レトロな温泉街が残っていて、
独特な雰囲気のある長野県の温泉です。
予定はこんな感じです。
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ところで温泉はともかく、桜を目的とした旅行には大きな問題があります。
開花時期と天気です。
休みを取る日は土日と決まっているので、
まずは泊まるところを確保。
無難にビジネスホテルにしました。
旅行サイトで10日前に予約。
1泊朝食付きで8,010円。
そしてなんとこのビジネスホテル、
温泉街にあるということで大浴場がついているのです。
それでこの価格は安いよね?
さて、天気です。
なにせ雨男でして、
小学校、中学校と4回林間学校に行って、
計4回キャンプファイヤーをする機会があったのに、全て雨で、
人生で一度もキャンプファイヤーをしたことがありません。
三日前。
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あちゃー。
こんなピンポイントで降る?
天気次第では南から回るルートも一考。
そして前日。
神代桜のある北杜市のホームページを確認したところ
開花状況は満開。
あとは天気だけです。
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なんとか曇りまで回復していたので
より時間を有効に使える北から回るルートに決めて新幹線を予約。
あとは神に祈るだけです。
一日目
快晴。
初の北陸新幹線です。
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車窓から見える景色にはいたるところで桜が咲いています。
昼食はデパートの地下で買ったお弁当。
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桜柄の缶ビール、桜柄のブックカバー、弁当には桜の柄のかまぼこ。
桜で決めた写真を撮ったつもりでしたが、かまぼこが横を向いてしまっていますね。
食べ始めてから気がつきました。
そうこうしてるうちに上田に到着。
都心から1時間。
ほんと新幹線は速い。
上田の駅で乗り継ぎに待ち時間があったので、
上田城に足を運んでみました。
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桜が満開でした。
上田から目的地の戸倉上山田温泉まではしなの鉄道で4駅。
戸倉駅からホテルまでの道すがら足湯を発見。
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ホテルに着いたら早速ひとっ風呂。
ほどよく硫黄の香りがするにごり湯で、よきかな~。
さて、レトロな温泉街で知られているこの街ですが、
いちばんの名所はスナックです。
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しかしいくら名所といってもですね、
一人焼肉、一人カラオケなどいろいろあれど、一人スナックというのはなかなかにハードルが高い。
とりあえず街の雰囲気だけ味わって、
観光サイトに載っていた食堂で夕食をとることにしたのですが、
その食堂がまさかの臨時休業。
もやもやした気分でホテルの部屋に戻り、
改めてネットを検索してみると「NEOネオン」というサイトを発見しました。
町おこしを目的としたようなサイトで、
温泉街にあるスナックが一軒ずつ紹介されています。
なんだか行かないと後悔しそうな衝動にかられ、
凸することを決意。
サイトにあった中から、
一人客が多いという店をチョイス。
パリピの中にぽつんってのは悲しいですしね。
しかしいざ店の前まで来るとやはり躊躇してしまいます。
窓はなく、中の様子が一切わからない店構え。
そして異世界へと通づるかのような派手な扉。
だがここまで来ておいて引き返すのはもったいない。
勇気を振り絞って、えいや!っとそのドアを開けます。
すると店の中の人たちの視線が一斉にこちらに注がれます。
「あの、観光で来たんですけど」
遠慮気味に言うと、
「いやー、めずらしいね」
と言ってカウンターの一席に案内されました。
サイトの紹介通りほとんどが一人客、
ただお互い顔見知りのようです。
なんだか常連の輪を壊してしまったみたいで申し訳なかったのですが、
お客さんの何人かが一見さんの僕に物珍しそうに話しかけてくれました。
一人はスキーのインストラクターを最近リタイアしたという男性。
もう一人は旅行好きの男性。
もう一人は東京でバスガイドをしてたという女性。
ママさんによると平均年齢は65歳だそうです(笑)
旅行好きの男性は僕が明日山梨に桜を見に行くと言うと、
神代桜のことを知っていて、
他にもいろいろな土地の桜ことを話してくれる博識な方でした。
元インストラクターの方はとても地元愛の強い方。
千曲川が好きで子供の頃はよくアユを釣ったが、
ダムができてからはアユが釣れなくなったとか。
たしかに川にはその土地の魂のようなものを感じます。
僕がそう言うと、兄ちゃんは話のわかるやつだと言って
ビールをおごってくれました。
ママさんが言うにはもう耳にタコができるくらい聞いた話だけど、
きちんと話を聞いてくれる人がいてうれしかったんでしょうとのこと。
元バスガイドの女性には結婚はしないのかと聞かれました。
僕はあまり結婚にはいいイメージがないのですが、
否定的なこと言って空気を悪くするのもあれなので、
口からでまかせに
そうですね、こういう旅行を一緒にできる人と出会えればいいですね。
なんて言ってみたのですが、
それはそれで悪くないような気もしました。
そしてスナックといえばカラオケ。
流行りの歌でも歌ってくれというので、
あいみょんでも歌おうかを思ったのですが、
残念ながら僕の歌いたかった曲は入っておらず。
シャ乱Qのシングルベッドを熱唱してきました。
旅の恥はかき捨てとはよく言ったものです。
ビール2杯とハイボールを飲んで
お会計は2,000円と良心的。
(お客さんが一杯おごってくれたので本来は3,000円)
普段触れ合うことのないような人生の先輩方と話ができて、
なんだかとても貴重な時間を過ごせた気がしました。
入り口のドアはまさに異世界への扉だったのですね。
僕もいつかこんな場所を見つけられるといいな。
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そしてもう一つの名所である射的屋にも行ってきました。
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1回500円でこんな景品をゲット。
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酔い醒ましに千曲川のほとりを歩き、
ホテルでゆっくりと風呂に入ってから就寝。
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二日目
7時起床。
今日は時間がタイトなので
朝風呂は断念。
朝食バイキングを堪能して、いざ出発。
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曇天。
戸倉からしなの鉄道で篠ノ井へ。
そこからどうしても乗り継ぎが上手くいなくて、
篠ノ井~塩尻間だけ特急を使いました。
このあたりから徐々に雲間から光が差し始めます。
あとこれは余談なんですけど、
旅行から帰った後に偶然テレビで鉄道関連の番組をやっていて、
この区間にある姨捨という駅が日本三大車窓と呼ばれる駅の一つだと紹介されていました。
思いっきり通過してしまった(泣)
塩尻からは中央本線に乗って、
日野春駅で下車。
桜のシーズンということで
駅前には何台かタクシーが待機していましたが、
せっかく知らない町に来たので歩くことに。
ただですね、
地図で見たときはわからなかったのですが、
日野春の駅は高台にあって、
桜のあるお寺まではかなりの急勾配を下るんですね。
道路はつづら折りになっていて、
人間の小腸じゃないけど、
直線距離よりもはるかに長い距離を歩くことになるんじゃないだろうか。
そう思いつつ道を下っていると、
ガードレールの切れ間から突然人影が!
おそらく地元の人なんでしょうけど、
その人が出てきた場所をよく見ると
「近道」という札が立てられています。
道と言っても草をかき分けて作った獣道のような道なのですが、
それを使ってショートカットに成功。
1時間弱で目的地の実相寺に到着しました。
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晴天。
神代桜は境内の最奥部に鎮座していました。
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満開。
添え木によって支えられた姿は痛々しくもあるけど、
それでも春になると毎年思い出したようにこうして花を咲かせる。
折からの風が吹くと花吹雪が舞い、
人々が歓声とともに、カメラを構えます。
僕はそれを遠巻きに眺めながら、
この桜はいったいあと何年こうして春を迎えるのだろうか、
そんなことを考えました。
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神代桜を後にすると、
日野春駅とのちょうど中間地点あたりの牧原というところからバスに乗って、
日野春から3つ先の韮崎駅へ向かいます。
実は旅行の直前、
この近くにもう一つ、わに塚の桜という大きな桜があるという情報をキャッチしていたのです。
韮崎駅の少し手前のバス停で降りて、そこからまた歩くこと1時間弱。
するとさっき一緒にバスに乗り合わせていた観光客と思しき人が、
すーっと自転車で後ろから僕を追い抜いて行きました。
なぬ!?
もしかしてレンタサイクルでもあるのか??
これは情弱だった!
そしてわに塚の桜に到着すると、木の周りにライトアップの設備が。
これってもしかしてライトアップされるのか??
これまた情弱!!
ここで日が暮れるのを待ってもいいのですが、
スマホの充電が虫の息。
とりあえず昼の桜を鑑賞して、
一旦韮崎まで戻って体勢を整えます。
駅前のファミレスに入って、スマホを充電。
調べてみたところちょうどライトアップの期間中で、
駅前の観光案内所にはレンタサイクルがあるようです。
早速観光案内所に行ってみると、
レンタサイクルの貸出時間は通常19時までとのことでしたが、
ライトアップ期間中ということで
19時半まで延長してもらえました。
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こちらは樹齢300年。
闇夜にいっぱいに枝を広げた佇まいはただただ圧巻でした。
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周りの皆さんの会話に耳を傾けてみると、
どうやら月が出るのを待っているようなのです。
桜と月。
そりゃまた風流ではないですか。
しかし空を見上げるといつの間にか一面雲がかかっていて、
その一部分がぼんやりと明るくなっています。
おそらくそこに月が隠れていると思われますが、
雲の面積があまりにも多くてなかなか顔を出してくれません。
たしかに見てみたい気持ちもありますが、
あまり遅くなってしまっては観光案内所の人にも悪いので、切り上げることにしました。
帰り道、
来るときにはまだ日が完全に沈んでいなかったのでわからなかったのですが、
ほとんど街灯がありません。
自転車のライトだけを頼りに走るのは都会暮らしの僕にとってはなかなかの恐怖でした。
そして無事駅に着いてふと空を見上げると、
ぽっかりと月が浮かんでいました。
あー!もうちょい粘ればよかった!
てか今空を見上げなきゃよかった(笑)
というわけで桜をめぐる冒険はここまで。
もし見に行こうと思っている方の参考になれば幸いです。
ちなみに2日間の合計歩行距離は
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合計45.1Km!
来年は三大桜の最後の一つを見に行こうと思います。
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