創作童話『雨上がりの日に』
「花が散ってしまうのは、悲しいね。」
足元に広がる無数の花びらを見て、ナナは言いました。
昨日降った雨で、せっかく咲いた白木蓮の花もほとんどが散ってしまっていました。
雨上がりの街はまだどこか生暖かい湿った空気が残っていて、まとわりつくようでした。
「そう?風情があって、これはこれでいいと思うけど。」
「風情って、なに?」
ヒカルはどう説明しようかしばらく悩んで、言いました。
「こういう儚いもののことを、風情っていうんだよ。」
「ふーん。」
そう言われても、踏まれてアスファル