子どもたちに伝えたいことは、と問われて

先日、東京の住んでいる地域の小学校の朝会で、
地元仙台での震災の話をする機会をいただきました。
子どもたちに伝えたいことはなんですか、と問われて、私が考えたこと。


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ひとつめ

この地震で、いろんなひとが傷ついた
津波にあった人も、ボランティアで手伝いに訪れた人も、テレビで見た人も
みんなひとりひとり、どこかで傷ついた
その傷は、まだ消えていない
たくさんの人の、つらさや涙があることを、思っていてほしい

でも、この地震はつらさや苦しさ、涙だけじゃなかったっていうことも
覚えていてほしい

津波で、たくさんの人のいのちが失われた
そして、家も車も、ランドセルも机も、たくさんのものを失った
たくさんのものが流されたけれど、残ったものがあった
それは、ひとがひとを想う気持ち、優しさ、あたたかさ
それでも生きていくつよさ

ヘリコプターの助けが来た時、すごくしんどく寒い中なのに、
自分より先にあっちのおばあちゃんを助けて、といったおじいちゃんがいた
少しでも早く暮らしを取り戻そうと、
避難所から毎日片づけに通ったひとがいた
そして、たくさんのボランティアが、何かできないかと集まった
来られない人も、それぞれの場所から、たくさん祈った

本当に苦しい時、つらいときに
たくさんのやさしさが集まった

ひとは傷つく、弱い存在です
でも、だからこそ、1人じゃなくて
ひとはひとといっしょに生きていくんだなって

たくさんの涙があったことといっしょに、たくさんのやさしさがあったことも、おぼえていてほしいです

***


ふたつめ
私も、3.11のあと、たくさんたくさん泣きました。
大人も、子どもも、たくさんのひとが泣きました。

でも、辛さも、苦しさも、涙も、全部大事なことがあって
生きている証だと思った

誰も、あの日あんなことが起こるなんて思わなった
いまも、明日がどうなるかなんて誰もわからない

だから、みんなには、未来のことも大事だけど、
”いま”を思いっきり生きてほしいです

笑ったり泣いたり怒ったり、ぜんぶがとっても大事な気持ちで
いろんなことを感じるのは、みんなが生きているから

たくさん笑ったり、泣きたいときは泣いていいし、
しんどい時はしんどいって言っていい
子どもも、大人も

どんなでもいいから、大切なみんなには生きていてほしいです
大切な友だちや家族のこと、大切な自分のこと
みんなには守る力があるから、どうか、守って、生きてぬいてください

ありがとうございました


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震災当時、私は18歳で、地元の仙台にいました
家は内陸部で、被害はライフラインだけ。電気3日、水道1週間、ガス3週間。
震災から1週間は家のことと、近所のお年寄りの水くみのお手伝い
2週間後から、仙台沿岸の津波の被災地に通わせていただきました。
大学が始まる連休まで1ヶ月半、そのあとは長期休みのたびに1-2ヶ月ずつ、現地に通わせていただきました。
10年を、特別な日にはしたくないけど、それぞれの3.11を
私にとっての3.11を
ひとりひとりの、それぞれの色が想いが、祈りが
どうかどうか、静かに大切にされる明日でありますように

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