見出し画像

政策形成能力向上プログラム

1.ねらい


 地方創生に向けた地域の多様な主体参画による政策形成プロセス(立案・実施・評価)をアウトカム視点でマネジメント(かじ取り)できる人材を育成すること。

2.対象


 地域主体によるまちづくりの中核的役割が期待される自治体職員


3.目標


 基本目標は、①地域の問題解決に効果的・実現可能で、ステークホルダーに承認される政策を創り上げるプロセスを通じて、② 一人ひとりの政策形成能力を開発・強化し、③実践に活かすことです。

 また、プログラム期間の目標は、①地域が直面する“放置できない問題”を解決するために、②“効果的・実現可能な対策”を立案し、③その内容をステークホルダーと“共有する”ことで す。

4.能力開発目標

(1)政策立案の方法


 地域特性に適した地域独自の政策形成を展開するための方法を習得することは必須です。特に実効(効果と実現)性ある政策立案に必要な以下の方法の習得を図ります。

 ①地域として放置できない問題の設定方法
 ②問題の実態把握・分析方法
 ③実効性ある対策の立案方法
 ④理解・承認される立案内容の説明方法


(2)チーム力の高め方


 地域の問題解決はチームを組みながら展開することから、「政策立案の方法」だけではなく、チームとして 最善の意思決定・合意形成に向け、メンバーひとり一人の強みを 活かしながら、相乗効果を生み出し、効果的(質)・効率的(短い時間)政策形成を展開できる「チーム・マネジメント」の強化も必須です。以下の内容を重点的に習得を図ります。

 ①チームビルディングの構築と維持の方法
 ②生産性の高いチーム活動の方法
 ③スケジュール管理(活動・分担、納期計画化、進捗管理・調整)の方法


5.基本的な進め方


 地域の政策形成人材を育成するために職員がチームを形成し、地域が直面する放置できない問題についてチームが主体的に活動し、その成果を政策提言するプログラムです。まず、具体的な問題設定からはじまり、問題に 関する分析とともに既存政策を踏まえて対策(政策)を策定し、最終的に首長、幹部に提言するプレゼンテーションと質疑応答を行います。その後、チーム活動の振り返りを行い、実践へつなげるプロジェクト型人材育成プログラムです。


6.成果の質を高め、能力を開発・強化するための仕掛け

(1)チーム別中間報告


 導入研修では基本的な知識の理解とその実践化への事例演習を行います。その後は、基本的に各チームが主体的に活動し、適時、中間報告での発表と質疑応答を繰り返します。中間報告では、チーム間での質問やアドバイスを通じて自分たちでは気づかなかった不十分な点を互いに補い、学び合うことによって提案内容を改良する機会とします。 また、中間報告③では、最終報告を想定し、聴き手からの質問や意見への対応準備をします。

(2)チームの主体的活動をサポートする

①サポートの位置づけ  
 地域の問題解決に向けて、地域にとっての“正しい答えを創り出す”取り組みである当プログラムはチームの主体的活動(自分たちで考え、集め、まとめ、創り、表現し、説明する)が大前提です。

 ただし、今まで定型的な業務を担当してきたメンバーの中には職場、経験、年齢が異なる人たちとチームを組みながら進めることへの不安感などから「何を、どこから進めていいのか明らかにできない」思考停止が 個人、チームで生じます。

 また、よく見受けられるのは導入研修では基本的知識や手順を理解し、それを確認する演習では的確に回答できていても、チーム活動がはじまると「手段ありきの提案になってしまう」ことです。

 そこでチーム別に講師との「意見交換」が主体的な活動へのサポート機能を果たします。

②チーム別意見交換  
 当プログラムの主たる目的は、報告書を作成し、最終報告会でのプレゼンテーションをすることではなく、実務で活躍できる政策形成人材を育成することです。この目的のための当プログラムが重視するのは、地域の問題を解決できる“政策を創り上げるプロセス”です。そのプロセスで良い体験をしてもらうのが「意見交換」を通じたサポートの主な目的です。政策立案プロセスでの良い体験を通じて、地域に役立つ政策立案には「何が大切か」を習得し、実践で活かせるからです。


③主体的活動をサポート

 サポートの内容は、講師が知識や手法を押し付けるのではなく、 主体的活動を促進するために「語り合い」を通じて不十分な点についての気づきを引き出し、次の活動につなげることです。

 自らが気づき、修正しながら内容を改良し、仕上げていく体験は能力開発だけではなく、正解のない答えを創り出す取り組 みに自信を持ち、自己肯定感を高めることになります。


7.当プログラムが必要とされる背景

(1)求められる“政策形成人材“


 “政策形成人材”とは、
①地域問題の解決(アウトカム実現)に向け、
②多様なステークホルダー(利害関係者)との協働において、
③問題設定、対策立案、実施、評価という問題解決のプロセスを、
④成果実現へ効果的・効率的にマネジメントする人材
です。  

 政策形成人材は、政策形成を多様なステークホルダーと協働で推進するプロセスをマネジメント(舵取り)できる人材です。

 現状の政策形成上の課題から補足すると、「固定観念や前例踏襲的な発想」、「経験や直感への過度な依存」、「手段ありき型思考」の傾向があるメンバーや「それぞれの利害を重視する傾向のある様々なステークホルダー」など地域の多様な主体が集まって行う政策形成プロセスをアウトカム重視でマネジメントできる人材が求められています。


(2)政策形成の課題

 
 政策が執行されたにもかかわらず、問題が解決されない事例が多く報告されています。その背景には立案された“政策の質”が 不十分なまま執行が始まっていると指摘されています。これは政策立案上の問題です。

 その一方で、成果が出ていないにもかかわらず、政策が継続されていることも見られます。これは実施後の 評価が形式的であるために政策の見直しが適切に行われていない 政策評価上の問題です。

 このような政策形成上の課題の背景には、担当者の‘アウトプット重視’が見られますが、成果(アウトカム)を重視しない政策形成プロセスが継続されている組織としての問題も指摘されています。


(3)アウトカム重視の政策形成人材の育成  


 地方分権化は地域間格差を生むリスクがあると言われています。その地域間格差に影響を与える大きな要因として‘人材’が 挙げられています。地域の課題に対して、その地域の内外環境に適した「答えを創り出していく」には、従来の手続きを重視する取り組みでは限界があります。新たな環境に対応し、着実に地域 の問題を解決できる人材に求められる発想と能力を開発する必要があります。

 どの組織にも“成果(アウトカム)重視”による活動で 成果を生み出してきた人材がいますが、限られた人材であることから多くの担当者が‘アウトカム重視の政策形成人材’として活動できる動機づけと能力強化が求められます。


(4)実務に活かすEBPM(Evidence-Based Policy Making)

 
 政策形成プロセスでの意思決定において、経験や直感よりも科学的な根拠(エビデンス)を重視することの重要性が議論されています。根拠となるデータを集め、分析することや、オープンデータやビッグデータの活用も期待されています。ただし、EBPMの考え方がめざす姿と政策形成を行う現場の実務環境や担当者のリサーチリテラシーが大きく乖離する中では、どのような取り組み方をしていくかが重要となります。
                                以上


株式会社 アリエール マネジメント ソリューションズ
http://www.ariel-cbm.com/
X(旧Twitter)公式アカウント:公共担当:https//X.com/ams10020

〒101-0025
東京都千代田区神田佐久間町3-38 第5東ビル5階
電話:03-3864-7367