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対戦攻略記事 操作を安定させる秘訣 "カバー"とは?

日本人初スマブラプロゲーマー、レッドブルアスリートのaMSaです。
今回はコントローラーの操作に関するお話です。
 スマブラが上手い人の動画を見ていると、ものすごいスピードでキャラクターが自由自在に飛び回っています。かっこいいですよね。
また、それだけ難しい操作をしながらもミスをほとんどしません。

 なぜこのように見えるのかというと、"操作精度"が高いだけでなく、操作に"カバー"を利かせているからです。

 本記事では簡単に操作ミスを減らす方法を確認しつつ、この"カバー"の考え方を中心にお伝えします。

▼本記事の対象者(ターゲット):
・操作ミスの多いプレイヤー
・難しい操作が苦手なプレイヤー
・大事な場面で致命的な操作ミスをしがちなプレイヤー

▼本記事を読んでくれた人がこうなって欲しいという目標(バリュー):
・操作ミスが減る。
・操作ミスをした時の影響が少なくなる。
・操作ミスをしたことが相手に気付かれないようになる。

勝つためになぜ"操作精度"が必要なのか

"操作精度"とは操作の安定感を主に指す用語です。
 そして操作精度が高いプレイヤーとは、操作ミスが少なく、難しい操作も比較的安定しているプレイヤーと言えます。上位のプレイヤーたちは日々練習を積み重ねてこの操作精度を磨いていきます。

 そもそもなぜ操作精度が必要かというと対戦アクションゲームでは基本的に難しい操作であるほどリターンが大きくなるからです。

 スマブラだと一番わかりやすいリターンの例は「リュウ」の昇竜拳。
昇竜拳は左スティック↑+必殺ワザボタンよりも昇竜拳コマンドでワザを出したほうがダメージが上がりますね。

しかし、難しい操作には操作ミスのリスクが伴います。

 先ほどの「リュウ」の昇竜拳の例だと、コマンドを失敗したときに意図しないワザが出てしまうというリスクがあります。このくらいのリスクならまだ許容範囲かもしれませんが、スマブラDXの「ガケ絶空」の例だと、成功すれば安全にガケから登れますが、失敗したときに自滅してしまうというリスクがあります。なんておそろしいゲーム...。

以上をまとめると勝つために操作精度が必要な理由は
「リターンを高めて、操作ミスのリスクを減らすため」
と考えていただければと思います。

操作精度はどうやって高めるの?

 それでは操作精度の高め方ですが、正直ここは得意、不得意が出やすいところで、ひたすらコツをつかむまで練習するしかありません。

 そんなのめんどくさい!と言われると悲しいですが。。。でも近道ができるにこしたことはないので、練習以外で操作精度を磨くためにできることをいくつか並べてみます。

①上位のプレイヤーたちに操作のコツを聞く
 自分のやりたい操作ができている人に聞くのが一番です。人によっては理論的な方や感覚的な方がいますので、自分に合う人が見つかると良いですね。

②色々なキーコンフィグを試す
 最近のゲームだとキーコンフィグを変更できることが多いです。片方の手の操作が忙しい!みたいな時にはこれを実践するといいかもしれません。
 例としてはジャンプからすぐに空上を出したいときなど。左スティックだけだと移動スピードをコントロールすることが難しいのですが、L、Rボタンにジャンプを割り振ったりすると楽になります。

③コントローラーの持ち替えをする
 私は1枚目の写真のようにコントローラーを握りますが、状況に応じて2枚目の写真のように人差し指でジャンプボタンが押せるようにコントローラーを持ち替えています。

コンラ1

コンラ2
この持ち替えをやるときは相手を上に投げてから空上を使いたいときや、復帰阻止でステージ側に戻りつつステージ外側に空中攻撃を出したいときなどにやっています。通常の持ち方だとこのあたりの操作が安定しなかったので、こういったコントローラーの持ち替えも操作を安定させるのに良い手段かと思います。

簡単な操作で替えが効かないか探す
 そもそも操作精度が求められるような難しい操作をしないという手です。昇竜拳の例だと、コマンドだと安定しないから左スティック↑+Bの入力で妥協しよう、という感じです。

 この自分の操作精度と相談して妥協するところは妥協するという判断が意外に大事で、これができている人は操作に関わるリスクが抑えられているので、試合の安定感にもつながります。
 逆に難しい操作を成功率が低いのに繰り返してしまう人は、その日の調子や緊張感によって試合の結果も安定しません。

 私は普段の練習やフリー対戦で8割以上安定する操作は実践で使いますが、8割以下の成功率だと感じた操作は実践では使わないようにしています。大会だと当日に操作のチェックを行って各操作の調子を確認し、調子の悪かった操作は普段安定していてもやらないことがあります。

④の考え方はこの後説明する"カバー"の考え方にもつながるのでよく覚えておいてください。

以上をまとめると操作精度を上げるためには自分で日々練習するだけでなく、
 ①上位のプレイヤーたちに操作のコツを聞く
 ②色々なキーコンフィグを試す
 ③コントローラーの持ち替えをする
 
簡単な操作で替えが効かないか探す
この四点が重要だということがわかるかと思います。
 さてここまで操作精度が必要な理由および操作精度を高める方法を簡単に記載しました。次に本記事の本題、操作に"カバー"を利かせることを説明します。

操作に"カバー"を利かせるって何?

簡単に言うと、操作ミスをした時のリスクを減らすのが"カバー"の考え方です。
 「え?操作精度を高めるのと何が違うの?」と思った方もいるかもしれませんので、スマブラSPの「ガケ奪い」のテクニックを例に説明していきます。

「ガケ奪い」とは相手キャラクターがガケをつかんだ時を狙い、地上からステージ外に出た瞬間に急降下を入れてガケをつかむテクニックです。

成功すれば自分のキャラクターがガケをつかみますが、失敗すればガケ外に飛び出してしまう、リスクのある難しいテクニックです。

これまでの考え方でいうと、「ガケ奪い」を何度も練習したり、上位プレイヤーにコツを聞いたりして操作精度を高めることで操作ミスを減らすことができます。しかしどうしても苦手な方は中々ものにすることができず、会得するのに時間がかかります。

これに"カバー"を利かせる考え方を適用するとどうなるかというと...

操作ミスしたときにガケ外に飛び出してしまうのがリスクが高いので、ガケ外に飛び出さない方法を考えます。
 例えば「ガケ奪い」の成功率が80%だとすれば、残りの20%の操作ミスが起こったときに現状ガケ外に飛び出しているので、これをリスクの少ない行動にできないかどうか試行錯誤します。

ここで大事なのは「ガケ奪い」成功時の操作に悪影響を与えないこと。
色々な入力を試行錯誤してみます。

そして、この問いに対する私の答えはこちらの動画になります。

この動画の"かめめ"選手と私の対戦の1:24:02~。ここで私はガケ奪いするフリをやっているように見えます。ですが実はここ、ガケ奪いを失敗しています。

何をやっているかというと、操作に"カバー"を利かせて「ガケ奪い」の瞬間にジャンプボタンを入力しています。これをしたことで本来「ガケ奪い」を失敗してガケ外に飛び出してしまって不利な状況になっていたところが、後ろにジャンプして状況を継続することができました。

他にも例を挙げると、例えばロイの弱攻撃からの反転空後。
同じ動画の1:25:19~ でその状況があります。

私はこの入力の成功率が大体6~7割だと思いますので、この場合は④簡単な操作で替えが効かないか探す でお話した通りあまり実践では使うべきではない操作になります。実際失敗してますしね。

ただ、入力を少し工夫しておりまして、操作が成功したときには空後が、操作が失敗したときには空前が出るようにしています。
 ロイというキャラクターであれば空前と空後の取違くらいであればあまりリスクにはならないと思っています。なのでこういった操作に"カバー"を利かせた入力は成功率が低くても実践に取り入れています。

これが操作に"カバー"を利かせるという考え方です。目から鱗と思った方もいらっしゃるかもしれません。

私たちは人間である限りミスは絶対に起きてしまいます。ゲームでもそれ以外でも人的ミスは避けられません。そのミスが起きることを前提として考え、ミスの影響を如何に減らすかを考えるのが大事なのかなと思っています。

以上、操作精度と"カバー"の関係をまとめると

・操作精度を高める → 操作ミスが減る
・操作に"カバー"を利かせる → 操作ミスをした時のリスクが減る

となります。難しい操作に直面したときには、操作精度を高めるだけでなく、操作に"カバー"を利かせることも一度考えてみましょう。

まとめ

本記事のお話をまとめると
・操作精度はリターンを高めて操作ミスを減らすために必要。
・操作精度は練習以外にも色々な方法で磨くことができる。
・操作に"カバー"を利かせると操作ミスしたときのリスクが減る。
・操作精度と"カバー"どちらも磨いて操作を安定させよう。

となります。皆さんも苦手な操作があれば"カバー"を利かせることで見えてくるものがあるかもしれませんね。

背景

 いかがだったでしょうか?私は元々難しい操作が得意なのですが、スマブラDXが先行入力はほとんどないゲームなので致命的なミスをしてしまうこともありました。操作の調子に左右されることが多かったように思います。

 そんな自分の操作が安定するようになったのは前回の"守り"に関する記事の考え方だけでなく、操作に"カバー"を利かせて自分のミスでやられることが減ったからだと思っています。

 ここからは余談ですが、本記事の作成に合計20時間くらいかかってしまいました。書き直しを4~5回繰り返したのかな...。この対戦攻略記事は週1~2で更新したかったのですが、いやはやお待たせしてしまって申し訳ないです。

 ようやく自分の中で納得できる形にようやく仕上がったので、今回の記事も何らかの形で読書の皆さんの糧になっていれば幸いです。

 また、前回の記事はこの記事の執筆段階で19,000PV、126スキを達成しました!SNSでも話題にしていただいた方やサポート機能を使ってくださった方もいらっしゃって、本当にありがとうございます。

 引き続きフォローやスキ、シェア、RT、コメントなど大歓迎!ですので、よろしくお願いいたします。
 それでは次回は"攻め"に関する記事に取り掛かりますのでお楽しみください。

aMSa
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📕マガジン『aMSaの対戦攻略記事 』過去の記事はこちら
https://note.com/amsayoshi/m/me1bf56630697

🎮著者簡易プロフィール🎮

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🎮出身・経歴
1991年10月27日生まれ。兵庫県の田舎育ち。
日本人初スマブラプロゲーマーのレッドブルアスリート。
東北大学理学部宇宙地球物理学科卒。
2001年に発売されたゲームキューブ版の『スマブラDX』にて18年以上赤いヨッシーを扱う選手として活動中。
2014年5月、日本人で最初のスマブラプロゲーマーになる。
2019年スマブラDX世界ランク7位になる。
2020年07月現在、VGBootCamp、Red Bull の2社にスポンサードを受ける。
Nintendo Switch版の『スマブラSP』では公式大会解説及び一部開発協力。

※詳細なプロフィール及びお仕事のご依頼はこちらをご参照ください。

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