コロナ禍を機に振り返ってみる

昨今のコロナの感染原因は以下に分類されると思う。

①人⇒人の直接感染

口や鼻から咳等で唾液が飛沫となって飛散、他人の眼や口の粘膜に付着し感染する。

②人⇒物⇒人の間接的な感染

感染者が触った物を別の人が触り、その触った手で目や口の粘膜に触れてしまい体内に取り込み感染する

(樹脂表面では最低3日、金属表面では7日間はウィルスは活性という実験結果あり)

日本発のCOVID-19感染症対策の一つ、『3密を避ける』というのは分類①に対する対策だろう。

これに加えマスク着用と石鹸手洗orアルコール消毒までしていればほぼほぼ問題ないのでは?と思う。

軽く考えすぎと思うかもしれないが、感染という現象の原理原則を考えれば実運用上現実に即した対策になり得よう。感染防止のため家にずっとひきこもるだなんて、自然の摂理に反した真似は辞めるべきだと考える。


いきなり話は逸れたと思うが、『3密を避ける』というのは私にとって頭の痛い問題だと思っている。

1年のイベントの中で愛してやまない同人誌即売会(特にコミケ)が以前のように戻らない可能性があるからだ。

15から行き始めて早17年?『コミケ』という世界最大の薄い本の即売会に63回目から行き始め昨年冬の97回目を迎えるまで、18の夏に1回欠場だけでそれ以外は全て参加してる。通算30回以上になる。

夏はどんなに暑くても、冬はどんなに寒くても、雨が降った時はどんなに濡れても寒くても、体調不良を一切起こさず戦利品をしっかり確保し生還し続けた。

ただ、それだけ長時間人ごみの中劣悪な環境に耐えなきゃいけない・・・という現実があった。それが今『3密』を如何に避けるかという議論の中で見直しが入る可能性が高い。

加え、平時の時でさえ平気で体調不良であっても入場してくる輩が居る始末。会場内で嘔吐までするくらい・・・それがCOVID-19が完全に収まってないのだから、これまでの環境で出来るわけがない。

会場の面積は限りがあるわけなので、サークル数や入場者そのものに何某かの制限がかかるのは目に見えてる。物⇒人感染を考えると見本誌の類もどうなるやら。紙媒体をいちいちアルコール消毒するわけにもいかないだろう。

ならいっそのことすべてオンラインにしたり、ぶっちゃけ通販だけでいいのでは?自分の表現を発信する場は幾らでもあるんだから即売会というオフラインイベントに頼らなくていいだろうと。

自分自身そう考えた時期もあったが今は違う。

気付き始めてる人は要るかもしれない。

『オフラインイベントが全てオンラインに代替できるわけではない』

オンライン化することにより捨て去られる要素、その1つとして『ノイズ』にあると考える。『ノイズ』というとマイナスイメージを持たれるかもしれないが、良い悪いはともかく『余計な物』という比喩である。

オフラインイベントである同人誌即売会は、目的の同人誌を置いてあるサークルまで幾分か移動し歩かなければいけない。そこ道中には何某かのサークルの島があり、そこの同人誌や看板には否応にも目に入る。私が言うノイズというのはこれのことだ。

サークルチェック時点では見逃した、何か自分の趣向にぶっ刺さる表現に出くわす可能性がある。それをただ目的地に行く道中で見出しすができる。わざわざ探す手間を割かなくていい、とても楽な行動ではないのか?

オンラインになると、その辺の『ノイズ』が綺麗さっぱり無くなってしまい、本当に目的のサークルしか見えなくなる。他を探そうと思ったら、わざわざ『探す手間』を割かなくちゃいけない。表現者も似たようなこと、どうやって自分の表現を発信しようか、その媒体や準備に手間をわざわざかけなくちゃいけなくなるかもしれない。

買い専、サークル双方に実は負担がオフライン以上にかかるのではと気にしてる。

金銭面や体力的な手間は確かに減るだろう、会場に行く手間が要らなくなるし、本は紙媒体にせず電子書籍と言ったデータ販売でも済ませられる。

オンライン、もっと言うとデジタルというのは案外不便で面倒な物。『アナログに勝るデジタル無し』というのは私の持論だ。

おそらく暫く経てば、オフラインの即売会は開かれるだろうが、『混雑と悪環境』に耐えることを強いるような人口密度にはならないのではないか?

今までそんな劣悪な環境下で如何に疲労を少なく、動きやすく、買い物をいかにスムーズにできるように色々と事前準備を重ねてきた。そのための人間関係もそれなりに作り維持にも努力してきて、時には自分の身を切るような犠牲も厭わなかった。

(何をやってたのかは想像に任せます。私の素性知ってる人は何を指すかわかるはず)

だが、ここに来て過去の産物となるかもしれない。少なくとも混雑と悪環境はCOVID-19の対策の絡みでメスが入るはず。

そうなれば、今まで苦労してきたのが無駄になる?今まで費やしてきた努力はなんだったか?

俺はそうは思わない。

むしろ、欲しい表現物をそんなにまで苦労しなきゃ手に入れられないものだったのだろうか?

今までそんな苦労してたこと自体が異常じゃなかったのか?

そうやって苦労してこなしてきた時代がやっと終わり、ゆっくりじっくり吟味できる時代が来るかもしれない。創作物を楽しむというのは殺伐と悪環境で耐えることはもうお終い。

コミケというイベントも、ビッグサイト全館開催を要する規模にならないかもしれない。どんなに早くても開かれるのは恐らく来年のGW以降、それまでにサークルの作家さん達はコミケに頼らない販路を見出してるはず。

仮に開かれるとなれば、また多大な時間と労力を費やして現地に赴き、以前よりもマシであれ劣悪な環境で売り子をしないといけない。買い専は3密対策の類で相当な混乱に巻き込まれるはず。入場制限ともなれば、数量少ない頒布物は完売の嵐、行った意味がないと落胆の声があちらこちらから出るかもしれない。

それだけの苦労をペイできる価値を見出して来る人間がどれくらい居るだろうか?

欲しいブツは通販やオンラインで手にかいるのなら、他に何か必要か?

コミケ含めた同人誌即売会の今の時代に即した本来の価値が、即売会再開後に問われてくる。

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