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Best Tracks of 2019 <100-75>

今年もとにかく色んな音楽を聴きましたが自分の記憶に残っていたり、よく聴いたり、DJで使ったりした自分にとって2019年を象徴する曲をまとめました。

順位はあってないようなものですがまずは100から75までを掲載。

Best Tracks of 2019 <74-50>はこちら
https://note.com/amps/n/n1910bd1fa4dd

「100」
Junior Jack & Pat BDS - 
'Flash'

クラブミュージック好きなら一度は聴いたことがあるであろうジャジーなボーカルネタを執拗にリフレインさせるハウストラック。ネタの反復もさることながら低めにうねりまくるベースとアナログな質感のリズム隊が非常にクセになるグルーヴを生み出している。フロアで聴いてこそ映える曲とはきっとこういう曲。

「99」
Kink - 'To Love You (feat. Rachel Row)'

ここ数年まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのKinkが放ったハイパーレイヴチューン。Sunshine (Kink Remix)以降は特にKink=レイヴテイストなピアノリフという印象になってきているが、この曲も御多分に漏れずレイヴピアノがガンガン鳴りまくる。そのリフを支えるのがブレイクビーツとドライブしたベースラインなのだからアガらない訳がない。決して目新しいトラックではないがフロアを沸かせる最適解のような仕上がり。

「98」
Sophie Lloyd - 'Raise Me Up (feat. Dames Brown)'

1stシングルCalling Outで圧倒的なゴスペルディスコを披露したSophie Llyodが放った2ndシングル。前回同様にメインボーカルとコーラス隊が掛け合うクドイほどのゴスペルスタイルはピークタイムにはうってつけ。下支えするオルガンパートも申し分なく、後半に待ち構える冗長なまでのブレイクとソロによる畳み掛けは期待値以上の高まりをもたらす。イコライザの調整も思わずオーバーなものになってしまうはず。

「97」
Theo Parrish - 'This is For You (feat. Maurissa Rose)'

レジェンドDJのひとりとも言えるTheo Parrishによるディープハウス。イントロから心地の良いコードと女性ボーカルが絡み徐々に徐々に展開していく。これだけではなんてことはないディープハウスなのだがTheo Parrish特有の絶妙にひねくれたビート、さらに後半になるにつれて発音数が増えていくドラムマシン式ホイッスルが妙にクセになるグルーヴを生み出している。加えてアナログな質感。決して時代が反映されている訳ではないが、逆を言えば時代を問わず聴き込むことができる不思議な魅力を放っている。

「96」
Ken Ishii - 'The World of PAC-MAN'

クラブミュージックではクラシックとも言えるパックマンネタ。しかしこの曲はネタではなくてそもそも公式楽曲なのだ。日本のテクノゴッドと称されるKen Ishiiによるパックマンの最新バージョンはジャパニーズテクノやデトロイトテクノが持っているしなやかなサウンドスケープを基調にクラシックなエレクトロな質感などを兼ね備え、オールドスクールでありながらパックマンが誕生した当時のワクワク感と未来的イメージをもって2019年に蘇った。

「95」
Logic1000 - 'Precision'

ジャケットのアンニュイな雰囲気。こういうジャケはだいたい良い曲と相場が決まっている。トライバルなパーカッションと控えめなチャントが絡み合いながら、クロスフェードを繰り返し展開していく。交錯するビートを下支えするファットなキックとベースラインも相まってユラユラとした陶酔感を生み出している。ドライな質感でありながら非常にサイケデリックな楽曲。

「94」
JAKES - 'King Dub'

ここ数年ディープなダブステップが復権しているがこのトラックもそういった部類に入る。JAKESのダブステップは歪みに歪ませた吠えるワブルベースとギロチンの様な高圧的なハーフステップが示すインダストリーな曲調が特徴だが、こちらでは鳴りを潜めダビーなウワモノと細かく刻むパーカッション、跳ねるビートでスイングしている。そんな中でもボトムの太さは素晴らしく流石の貫禄を発揮している。

「93」
木梨憲武 - 'OTONA (feat.久保田 利伸)'

2019年に木梨憲武がアルバムを出す。それだけでも野猿世代的には熱いものがあるはず。そしてなんといっても各楽曲フィーチャリングが豪華。楽曲も抜群の仕上がり。そこに乗るのは遊びに遊んだ歌詞。FISH FIGHTからさして変わってなくて安心感がある。日本人タレントやアーティストが突然放つソロ作品はお金のためではなくて、大人がお金をかけて本気で遊ぶ。そんな自由な雰囲気で音楽と向き合うスタイルが昨今少なくない気がする。

「92」
Urbandawn - 'Come Together (feat. Tyson Kelly)'

Come Togetherのカバーやサンプリングされた楽曲は数多くあるがドラムンベースは稀な仕上がりだと感じる。ブレイク明けにドロップする唸りあげるようなベースラインと刻み、ライドシンバルをレイヤーしたキック、そしてロッククラシックとも言えるネタのカバーということもあり、近年のドラムンベースシーンでは非常に独特な鳴りを放つ楽曲だ。

「91」
Juan Power - 'Excuse Me Daddy (DJ Tennis Edit)'

Juan MacleanとMan PowerによるユニットJuan Powerが送り出したテクノサウンドは非常にアブストラクトであり、ディスコパンクの様な生々しさも併せ持っている。テックなイントロからアナログなベースラインがひた走る展開はシンプルであるがゆえにストレートな高揚感を与えてくれる。

「90」
Emika - 'Eternity (Pinch Remix)'

オリジナル楽曲、リミックス、DJ、レーベルオーナーと八面六臂の活躍をしているブリストルのPinch。跳ねる様なビートとうねるベースラインシーケンス。もちろんボトムの抜群の厚さはブリストル仕様といったところか。ディープなダブステップやインダストリアルなテクノのイメージが強い彼だがこのリミックスにはトランス的な要素も感じられ彼のバックボーンの豊かさが存分に現れている、

「89」
Salvatore Ganacci - 'Horse'

2019年に強烈なインパクトを放った曲の中では5本の指に入るのではないだろうか。ミュージックビデオなくしてこれほど話題になることはなかったであろうシンプルなハードハウスといった作風だがじっくり聴き込んでみるとベースラインハウスやサイケトランス、ブレイクスといった要素がコンパクトにまとまっている。といっても結局はミュージックビデオが最大の売りとしか言いようがない。この楽曲がフロアに鳴り響く時、キレキレのステップと拳が飛び交う光景は今年のクラブミームのひとつだったはず。

「88」
Bonobo - 'Linked'

今やCoachellaなどのビックフェスにも出演しライブアーティストとしても絶大な支持を受けるBonobo。そんな彼が放ったシングル'Linked'は得意の浮遊感が漂うアコースティックなインストゥルメンタルを基調にアシッドが絡み合っていく陶酔感抜群の仕上がり。アグレッシブでなく「泣き」のアシッドサウンドはダンスフロアに燦然と輝く。

「87」
TSHA - 'Me You'

新進気鋭のアーティストTSHAはFour TetやBonobo、Bibio、Maribou Stateのようなフォークトロニカテイストなダンスサウンドを展開している。ポストダブステップ以降に頻出したテイストではあるものの、芯の通ったエキゾチックで哀愁漂うメロディラインと音使いに今後期待が高まる。アルバム単位での作品で更に多彩な表情を見せてくれるだろう。

「86」
CITY1 - 'Buluu'

日本が誇るダブステップクリエイターの1人CITY1。今年Gourmet BeatsからリリースしたTribal Connectionも非常にタイトなサウンド作りで抜群の仕上がりだったが'Buluu'が放つ神秘的な世界観も非常に魅力的。非常に作り込まれたビートの刻み込み、3連で展開するメロディラインなど複雑でありながら聞く側の耳にスッと入り込んでくる物腰の柔らかさ、実はかなり難しいことをクレバーにまとめあげている。

「85」
CLIPZ - 'Down 4'

Redlightの変名CLIPZが10年ぶりに復活。90年代末のドラムンベースサウンドを現代に蘇らせた。非常に軽やかで爽やかなボーカルにシャープなブレイクビーツ、上下に駆け回るしなやかなベースラインで心地よい疾走感溢れるグルーヴを生み出している。90年代ジャングルやレイヴがリバイバルしている昨今のお手本のような1曲。

「84」
Claudio Coccoluto - 'Twelve Inchs'

90年代のハウスシーンでレジェンドと評されたイタリアのClaudio CoccolutoがリリースしたEPからの1曲。様々な要素が溶け込んでおりハウスともテクノとも言い難いが、抜群のグルーヴということは一聴すればわかるはず。ファンキーなベースラインと音選び、主張しすぎない手数の多いビートパターン。熟練が積み重ねてきた数多のDJプレイを1曲に封じ込めたような流石の完成度。

「83」
Homemade Weapons & Roho - 'Kifuka'

The海外から見た日本的ジャケットが印象的なベルリンのSamurai Musicからリリースされた非常にミニマルでハードなドラムンベース。ポイントは何と言っても足元の作り込みが楽曲要素の大半を占めていること。タイトでファットな低音部と輪郭のくっきりしたダンスホール調のビート。ダンスフロアにおいて単体でも抜群の機能を発揮するこの楽曲だが、ダブルドロップでミックスされた時に真価を発揮する。

「82」
Watch the Ride, Inja & Trigga - '4 No Reason'

DJ Die、Dismantle、DJ RandallによるニュープロジェクトWatch the Ride。Dieのパートナーとも呼べるInjaとTriggaを迎えたダークでハードコアなドラムンベースとなっている。どうやらこのプロジェクトは現行UKグライムシーンをフィーチャリングしながらを展開していく様子。ドラムンベース、ブリストルのレジェントであるDieのトラックメイクは非常に洗練されており彼の主宰するGutterfunkのリリースも含めて今後の期待が更に高まる。

「81」
Aloka -  'Convex'

ダークな世界観とキレの良いブレイクスが抜群のグルーヴを放つ1曲。4つ打ちからミックスされた時には非常にエネルギッシュな働きをしてくれるだろう。Addison Grooveが今年のJapan Tourに際して頻繁にプレイしていたトラック。ブレイクス好きの彼のお墨付きということもあり、その完成度は非常に納得がいく。Alokaのリリースはそう多くはないが今後のリリースに非常に期待が高まる。

「80」
CamelPhat & Jake Bugg - 'Be Someone'

哀愁漂うハウストラックにJake Buggの囁き、語らうようなボーカルが響き渡る1曲。イビザを中心にメガヒットしてるであろうアンセム感を感じる。作中の一節「You're talkin', talkin', but ain't walkin', I can't help but laugh. Dare to be someone. Try to be someone.」は非常に強烈。自分の戒めにも刻み込んでおきたい2019年の1曲。

「79」
Scuba - 'Burn Out'

ポストダブステップ隆盛期からシーンの第一線を走り、今ではテクノシーンの第一線で存在感を放つScuba。特に昨今のリリース楽曲のクオリティは豊かな音楽性を遺憾なく発揮していて素晴らしい。'Burn Out'は90年代のトランス黎明期に似た哀愁と開放感を感じさせる。響き渡るギターフレーズとトランシーなシンセサウンドのセッション、アナログシンセが支えるベース構成。今では貴重なバレアリックサウンドを求めるなら実はScubaにたどり着く。

「78」
Adriatique - 'Nude (Solomun Remix)'

世界の各種DJチャートを総なめにした実績を持つSolomunが手がけたリミックス。以前はモダンなハウスやディスコのクリエイターといった印象が強かったが、このリミックスはブレイクスビートを基調に8分かけて非常に緻密な展開が繰り広げられていく。アブストラクトな雰囲気のブレイクから一気に駆け上がるドロップの開放感は今年聴いた楽曲の中でもトップクラスな印象を受けた。

「77」
POLYPLUS - 'quarter'

現代的で日本人らしさも兼ね備えたジャズアーティストが所属するレーベル「Playwright」POLYPLUSもそのレーベルカラー見事に表現しているバンドのひとつ。個人的なDJの選曲目線で話してしまうが反復する主題のフックの強さ、各ソロパートの展開力、ブレイクによるダイナミクス、この3つがポイントになってくるがどれをとっても抜群の仕上がり。

「76」
State Cows - 'Borrowed Time'

現代を代表するAORバンドState Cowsの待望のニューアルバムから1曲。決して新しいことはしていないけれどAORに求める部分は新しさよりも楽曲の気持ち良さと耳馴染みの良さみたいなところではなかろうか。Donald Fagen、Steely Dan好きにはたまらないソングライティングと音作りの良さは1聴の価値がある。

「75」
DJ Snake - 'Frequency 75'

EDMシーンにおいて名実ともにトップアーティストの1人であるDJ Snakeがリリースしたアルバムからこちらを選出。2000年代中期頃に一大ブームであったエレクトロの系譜を現行シーンの要素を盛り込みながら脈々と受け継いでる。フレンチアーティストの心意気が伺える仕上がりに感服。DJ視点から見れば長めに配したブレイクを使って様々なプレイも見出せる非常に機能的な曲。

Best Tracks of 2019 プレイリスト on Apple Music


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