見出し画像

62. パワハラ上司の闇

ブラック企業とか、パワハラ上司という言葉が聞かれるようになって
久しいですが、過労自殺というのは決して見過ごせません。
間接的に仲間を死に追いやるブラック職場の存在は、
人間社会の深い闇です。

2015年に、電通の新入社員が過労自殺した事件がきっかけとなり、
過労死が広く社会問題として認識され、厚生労働省を中心に
過労死を無くすための取り組みが進められてきました。

しかし、その後も若い命が失われてしまう痛ましい事件は
なくなっていません。
2019年には、「東芝デジタルソリューション」に勤務していた
システムエンジニアの男性(当時30歳)が過労自殺しています。
(2020年12月に労災認定)
この男性の残業時間も100時間を超えていました。

このような事件は、ネットで検索すればいくらでも出てきますが、
過労自殺をいろいろと調べていくと、
「長時間労働、休日労働、深夜労働」などの過重労働による
肉体的負荷に加え、納期の切迫やトラブルの発生などに起因する
精神的なストレスも重なっているようです。

また、過労自殺した人が残す遺書には、必ずと言っていいほど
謝罪の言葉が残されていると、ある弁護士の指摘がありました。

「もう何もやる気の出ない状況です。会社の人々には
 大変な心配、迷惑をかけている」

「すいません。何も感じない人だったら、このようなことは
 しなかったと思います」

「情けないけどもうダメだ・・・、ごめんなさい」

彼らを苦しめているのは職場なのに・・・・、
なんと悲しい言葉なのでしょうか。



長時間労働は、過労自殺の引き金になります。
ただ、それ以外の要因、精神を病むようなストレスの影響が大きいので、
長時間労働だけを規制しても、過労自殺の撲滅にはつながりません。
過労自殺する人の多くは、うつ傾向やうつ病などの精神障害を
発症しています。

新国立競技場の建設工事の現場監督だった男性社員(当時23歳)が、
2017年3月に失踪し、遺体で発見された事件がありました。
男性のひと月の残業時間は200時間を超え、
ほぼ1日拘束(例:朝7時に出勤、翌日朝8時に退勤)が3回、
休日は5日だけ、という過酷なものでした。
友人に「もたない、やめたい」などと話していたそうです。

また、自殺した現場には、
「突然このような形をとってしまい申し訳ございません」
「身も心も限界な私は、このような結果しか思い浮かびませんでした」
と書いたメモも見つかっています。



重い責任、過重なノルマ、達成困難な目標設定などにより
精神的に追いつめられて、長時間労働で肉体的にも極限状態に
追い込まれる・・・・

過去10年で10倍も増えた過労自殺(未遂者も含める)を無くすには、
「長時間労働」に加え、「職場のストレス軽減」も必要です。
労働基準監督署に相談に行ったら、「労災にはならない」と言われる
ことがあるようですが、簡単に諦めるべきではありません。
労災が認められるかどうかは、即答できるようなものではなく、
労基署には申請を受理する義務があるので、
申請をして、しっかりと調べてもらいましょう。


また、2021年9月には「脳・心臓疾患の労災認定基準」が改定され、
労働時間が一定の基準(いわゆる過労死ライン)を上回っていなくても、
不規則な勤務や深夜勤務といった労働時間以外の負荷要因を
合わせて考慮し、労災として認定するか否かの判断をするように
なっています。



労災認定は、従来と比べて柔軟な判断がなされる可能性がありますので、
無理だと決めつけずに申請することが大切だニャ ฅ(ↀᴥↀ)ฅ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?