「はい、チーズ」の謎 日本の学校が教えない英会話術⑬
1. 写真の掛け声
わりとどうでもいいっちゃあ、どうでもいいことなんですが写真を撮るときの掛け声で
「はい、チーズ」
って明らかにおかしいですよね。
カメラマンが「はい、チーズ」と言って、撮られる側が「チーズ」と言う。
これは口角を上げて笑顔を作るための掛け声のはずなんですが、「チーズ」だと最後が「ズ」でウ段なので口角が上がらないし、全然笑顔とは程遠い。
小学校の頃から、「わけがわからん掛け声だなあ」と思っていました。
これ以外の掛け声だと
「1+1は?」「2!」とかは「イー」で終わるので理解できますよね。
韓国だと同じ理屈で「キムチ!」と言うらしい。
なんで「チーズ」やねん。
と子供時代に不思議でしょうがなかったのですが、これには明確な理由があります。
アメリカ人が写真を撮るときに「Say cheese!(チーズと言って!)」と言うんですよ。
これが日本人に伝わって「はい、チーズ」になったのは明らかですね。
そこで疑問に思う方もいると思います。
英語でも「cheese(チーズ)」やったら、やっぱりおかしいがな、と。
おかしくないんです。
英語のcheeseの発音は「Z」で終わります。
「Z」単独だと母音は乗りませんので、手前の母音「ee(イー)」の口のままなんですよね。
だからちゃんと口角が上がって笑顔になります。
2. そこに母音はありません
なんでこんな話をしたのかというと、日本人は母音のないところに母音を入れたがる癖があるので気を付けた方がいいよ、ということが言いたかったのです。
日本語は「声」の言語なので、ほぼすべての文字に母音がつき、子音だけで発音する文字は「ん」しかありません。
下に日本語をアルファベットで表記する際に用いるヘボン式ローマ字の表を示しますので、確認してください。
「ん」以外のすべての文字に母音(A、I、U、E、O)が付いていることが確認できますね。
なので、日本人は子音だけの発音がかなり苦手です。
そのため、つい座りの良い母音を挿入したがります。
これは「L」と「R」の区別ができないなどということよりもよっぽど深刻です。
はっきり言って、これがまともにできないようではあなたの英語は全く相手に通じません。
よくネタにされますが、McDonald'sの発音はマクドナルド(MA-KU-DO-NA-RU-DO)ではありません。
Mc-Do-nald'sの3音節で発音します。
あえて片仮名で表記するとしたら「マッ-ダァ-ノゥ」でしょうかね。
あえて「マッ」としたのは、「マク」ではないことを強調するためです。
マクドナルドよりはマッダァノゥと言った方が間違いなく通じやすい。
重要なのは音節の数とストレスの位置です。
ストレスとはアクセントのことで、単語の中で息の強く発音する母音のことです。
McDonald'sだと真ん中の「o」がストレス位置なので、「Do(ダァ)」の音をやや長め(息を強く)に発音するイメージです。
音節の数は、そのまま(発音すべき)母音の数です。
McDonald'sの場合、綴り的には母音が2つしかありませんが、実はMcは本来Macで母音が1個省略されているので、合計3つになります。
他に注意すべき点としては、「ストレスの位置の母音」と「母音が乗る位置の子音」を正しく発音することです。
「ストレスの位置の母音」とは真ん中の「Do」の「o」です。
これの発音は短母音の「o」なので喉を開いた状態の「アー」です。
ストレスの位置以外の母音の発音はわりとどうでも良いです。
基本的には短母音「u」の発音で、力を抜いた「ア」です。
まあこれは「あいまい母音」と言って、とりあえず「ウ」でも「イ」でもいいので、力を抜いて息を弱く発音すればよい。
「訛ってる」と思われるかもしれませんが、基本的に通じます。
次に、「母音が乗る位置の子音」とは、「M」「D」「n」の3つ。
なお、厳密に言うと「nald's」の「a」の発音は消失しているのですが、「l」がほとんど母音のような役割なのでちゃんと1音節として数えます。
「l」の発音は舌を横に広げずに棒状にして舌先を上の前歯に押し当てる形で唇をややすぼめて「おー」と発音します。
なので、「nald's」の発音は「ノゥ」になります。
後ろの「d's」の発音はどこにいってん?と思うかもしれませんが、ぶっちゃけ発音しなくてもいいです。
厳密には発音するのですが、ほぼ聞こえないし相手も(たぶん)聞いてません。
母音の乗らない語尾の子音の音なんてほぼどうでもいいのです(笑)
セカオワの「Dragon night」も「ドゥアーゲナイッ!」って発音するでしょ?
余談ですが、セカオワのヴォーカルFUKASEさんの英語発音はネイティブが聞いてもかなり上手らしいです。
少なくとも日本人の私が聞く限りはかなり上手ですねえ。
3. 英語リズムの正体
以前のエントリでも書いたのですが、英語のリズムは音節数(母音の数)とストレス(アクセント)位置がほぼすべてです。
ここをちゃんと意識できているかどうかで、発音も聞き取りも劇的に向上します。
私はこれを意識して話すようになってからは、外国人に聞き返されることはほとんどなくなりました。
日本人が最も意識すべきは「L」と「R」の区別や「TH」の発音ではありません。
もちろん、これらができることは重要ですが、まず最初に取り組むべきは母音の発音、母音の数、ストレス位置の3つです。
あと、やや話がずれますが、できない子音の発音よりも、できる子音を間違えないことも重要です。
「S」と「SH」、「T」と「CH」の発音も聞き分けも日本人はほぼ完全にできるはずですが、めちゃくちゃよく間違えます。
「Sea」と「She」、「Tip」と「Chip」は全然違う単語なので、こういう単語の言い間違いを極力減らしていきましょう。
以上をまとめると
「Cheese」を発音し終わったときにちゃんと口角が上がっていれば、正しく発音できている。
以上です。
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