「雑居ハウス」というのはどうだろうか

「雑」。
無責任に大きなスケールで放言すると、いま世の中には「雑」が足りないのではないか。
ググってみるとこう出てくる。

ざつ
【雑】
《ダナ》やりかたが念入りでなく、大ざっぱなこと。 「仕事が―だ」
ざつ
〖雑〗 (雜) ザツ・ゾウ(ザフ) まじる・まじわる・まじえる
1.
いろいろなものが入りまじっている。まじりけがある。まじる。 「雑種・雑食・雑居・雑炊(ぞうすい)・雑魚(ざこ)(じゃこ)・複雑・夾雑物(きょうざつぶつ)」
2.
多くのものが統一なく集まっている。 「雑多・雑然・雑学・雑録・雑纂(ざっさん)・雑記・雑談(ざつだん)(ぞうだん)・雑話・雑報・雑踏・煩雑・繁雑・混雑・乱雑」
ぞう
【雑】
和歌・俳諧の分類の一。はっきりした部類のどれにもはいらないものをまとめた部類。

「やりかたが念入りでなく、大ざっぱなこと」。これは僕のことだ。特に家ではすごく雑だ。丸いお皿も一文字に洗う。ごめんなさい。

それ以降の定義もいい。まさしくアカミミハウスとして実現したいものというか、カテゴリー分けから漏れ出てしまうもの、こだわりのライフスタイルが無駄として切り捨てがちなものもどうしたって混じってしまう生活というのを、無理なく楽しくやっていくためにこそ「家」が欲しいのであって、見目麗しく合理的であるモダァンなお洒落ライフを実現したいわけではない。

雑でもちゃんと生きていける。特段むりな努力をしないまま、あわよくばちょっとした「丁寧な暮らし」のフレーヴァ―を漂わせたいとは思う。しかし大切なのは雑でもちゃんと生きていけるということなのではないか。徹底的に滅菌するよりは、うっかり発酵しちゃうような生活がよかった。いや、さすがにそれは嫌かもしれない。

壺井栄の『雑居家族』というのを古本屋で見つけて、いいタイトルだなあ! と思われたので買った。まだ読んでいないのだけど、雑居というのはいい言葉だ。ググるとこう出てくる。

ざっきょ
【雑居】
《名・ス自》種々の人がまじり合って住むこと。
一つの家に何家族もの人が住むこと。
一つの建物にいろいろな会社や店が入っていること。 「―ビル」

雑居ビル、雑居ハウス。これかも、という予感がある。

11月の東京文フリで、「家」についての雑誌を出す予定です。
「雑」は教育や排斥によって矯正していくものじゃない。どうしたってそうであるものだ。
そんな思いを勝手に気負って、お待ちしております。

壺井栄はまだ読まれていない。