的な死

コンビニでイカフライを持った女のカゴに猫缶が入っていて、その奥で恋人らしい男が酒を選んでいた。
わたしはこういう風景が苦手で死にたくなる。
見たくないとか避けたいとかじゃなくて死にたくなる。
アイス売り場にはアパートから寝巻きとサンダルで出てきたようなだらしない服装の女がアイスを眺めている。視線はもったりとして、緩やかに端から端まで眺める。
仕事帰りのサラリーマンがインスタントラーメンを選んでいる。わたしに道を開けてくれない。男の革靴は爪先が綺麗に上向きになっている。
店に入ってきた女はピンク色の鞄を下げている。

どうでもいい一つ一つのことが死因になって私が死んでいく。見えない血を吐いて死んでいるわたしを見て、私は店を後にする。

死にたいって感情は死んでる自分を眺めたいという感情に似ている。

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