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高校時代の思い出

高校2年の時でした。
担任との進路相談で帰りが遅くなってしまい、あたりはもう真っ暗でした。私は看護系の大学に行きたかったのですが、担任は他の大学を薦めたいらしく、激しくぶつかりあい、かなり疲労しきってしまいました。高校では一緒に帰る友達がいなかったので暗い道を一人とぼとぼと帰るしかないのです。

私の地元は本当に田舎で、帰り道にほとんど街灯がありません。坂道の途中にある公園だけ、うっすらと、本当にうっすらと灯りがついています。とは言え、もう真っ暗になってしまった時間には近所の子なんか遊んでいるはずはないのですが、公園の方から人の話し声が聞こえてきました。
(うわぁ…大学生とかかな。怖いな…)
とか思いつつ、そこを通って帰るのが一番早いので公園の中を存在を消しつつ通ろうとしました。

普段しない声が聞こえると、どんな人なのか気になるじゃないですか。私はバレないように、声のする方をチラッと見ました。

うっすらとした灯りの中ですが、髪の長い女の人が1人で立っているのが見えました。
この時間にいる髪の長い女の人って怖いじゃないですか。真っ暗なのに怖いもの見たな、やだなぁ、と思いましたが、怖いもの見たさでうっかりもう一度見たらバッチリ目が合っちゃったんです。しまったと思いすぐに目を逸らしたのですが、なんとなく、私の方に話しかけているような気がしてなりません。

うわうわ怖と思って足早に公園を抜けようとしたのですが、なぜか足が動かない。頭も痛いし、耳鳴りもすごい。なんだこりゃと思って再び女の人の方を見たら、ゆっくりゆっくりこちらに近づいてきたんです。足も動かないし逃げらんない、やばいやばい。そう言えば、なぜ暗い中でも目が合ったと確信できたのでしょう。不可解なことが一気に押し寄せてきます。
動けない私をよそに、もうあと1mあるかないかくらいの距離まで女が近づいてきました。

ここではっきり
「アソボゥ……アソボ…」
と私に向かって話しかけている声が聞こえました。

その声は到底この世のものとは思えません。私は思わず腰を抜かしてその場にへたり込んでしまいました。
女の人がはっきり見える位置に来ると関節が明らかにおかしい方向に曲がってるし、首とかもう90°超えて120°くらい曲がってねえか!?ってくらい。明らかにこの世のものじゃない。立てないし逃げられないし、もう終わりだと思いました。

こちらに伸びてくる手、もう爪の割れ目まで見えてしまう距離になりました。

(連れて行かれる…!)


死を覚悟したとき公園の滑り台から勢いよく人が降りてきました。


寺生まれで霊感の強い担任のT先生だ!
「破ァ!!」
そう叫んだ途端頭痛耳鳴りなど諸々の症状が消え、女も消えました。
『T先生、何でここに…?』
「仏教、大学で学びたくねえか?」
寺生まれってスゴイ。初めてそう思いました。

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