マスカルポーネと白桃と赤いスパークリングワイン

 桃とチーズ。くだものとハーブ。なぜ、くだものの皮を剝くの、めんどくさく思うんだろう。りんごの皮を剝いたとき親指に刃先があたって、流血。くるくるとまわりながら、どうすれば最適かわからず、障子に血が飛んだ。それはわりと、きれいであった。にじんだ血がりんごに滲みる。

 桃。桃と言えば祖母が、たぶん、お彼岸のとき。おはぎで余ったあんこを、桃と一緒に出した。あれがすごくおいしかったなーっ! たぶん、いまなら、チーズか生クリーム。これ、ウィスキーに合うんじゃない?って心の中で思っていたのだが、この店で出されたのは、マスカルポーネと白桃、ピンク胡椒とプチトマトとマーシュ。たぶん、マーシュ? だよね。だった、と思う。オリーブ油と腐った血みたいなヴァルサミコ酢。少しねっとりしてる。ひまわり油とアイスクリーム(生クリーム多めでさっぱり)とさくさくしたナッツ系のなんかみたいな。あれとか。クリスピーなやつ。あれ。あれなんだっけ? 知らないけれど。そういうふうな食感で。ピンク胡椒のポテンシャル見くびっていた。これ、奥歯で噛むと芳香が。はじけたぷちぷち感と共に。白桃は真ん中が赤くて。ちょっと、いちじくみたいで。そう、いちじくくらいの頑丈さならブルーチーズをおすすめするけど、この初心な白桃にはマスカルポーネがじゅうぶんだ。ティラミスにはいってるやつだっけ、これ。

 次、何頼む? 黒板のメニュー、いちばんうえから暗唱して。一番好きなところで止まろう。最後はコーヒー飲んで、お別れしよう。

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