並ぶ幸せ

そのまちは台風の進路にある。
3682が逝ったのも台風の当たり年だった。
今年も台風が多くて、街角のポストたちはひいふう言っていた。
激しく吹いた朝、3836は、ほんとうに、恐る恐る目を開けた。
4300が倒れてないか、そればっかりが
心配で。
無事だった。
良かった。
でもなんか、ちょっと違うぞ。
僕たちはいいんだけど、街がすこし曲がってる。


違っ


僕らがそろって曲がってるんだ!!


30°くらいのズレ。
こどもとか猫とかが、ちょっと考えごとするてきな角度。
それがかわいいと評判呼んで、世界中から僕らを見にくる人が!

毎日毎日写真写真写真。
僕ら挟んで写真撮ると幸せになるとか、さらに同じように斜めると倍幸せになるとか。
新しいジンクスが生まれては消えるなか、僕らはジンクスの道具であることに、だんだん嫌気がさしていったのだった。


それでも地球は回っている