東京は、老女も上品〔読み物100〕


駆け出しの頃、ハットリくんの原稿は、西荻窪でSさんに読んでもらっていた。
当時小田急線沿線に住んでたから、下北沢で東急井の頭線に乗り換えて、吉祥寺からJR(当時は国鉄)一駅新宿方向へ。
井の頭線の車内は、いつもおっとりした雰囲気で。
老女もファッションからして違う。
春コートやら、スカーフ使いやら。
名鉄三河線にはあまり乗ってなさそうな。
偏見っちゃー偏見だが。

東京は、おばあちゃまでもかっこいいんだな

と、目をみはったことを思い出した。


新興高級住宅地、田園調布は何線だろ。

関西在住のお笑い君~遠き日の元カレ~は、田園調布、行ってみたのだという。

何やプールもテニスコートもないやんか。

芦屋の豪邸にはたいていあるで?


ごもっとも。

おっしゃる通り。

私も小田急沿線の方が、あっと驚く家とか見かけた。

庭に大木生えてたり。

広すぎて手が回らないのよ、な感じがあった・・・


小金持ちーもー金持ちだー♪

ろうが、無理してる感じはある。

成城は、昔からゴージャスだった気がする。

が、ウルトラマンの前はまだ、かなり激しく農地だったんだよな。

『月の林に星の船』(著者・実相寺昭雄氏)の冒頭にそうあった。

1960年代。

ほとんど60年前か。

栄枯盛衰の果て、円谷はもう砧でも八幡山でもなく、渋谷あたりにあるらしい。

上品なおばあちゃまを井の頭線の車内にみかけたのももう四十年も前のこと・・・

歳月の流れはあまりにも早く、私はめまいにも似た困惑を噛み締めている。




それでも地球は回っている