破滅

うきうきと、どきどきが同居している。
そう、彼女は罪を犯し続けている。
最初は小遣いの範疇だった遊びも、度重なればいつしか現実の制約を受ける。
認識するのを拒んでいるうちに、金額は、天文学的なものとなっていった・・・

友だちと蓄えていた、旅行資金に手をつけたのが半年前。
恋人の、留学費用に手をつけたのが半年前。
父親の印鑑をひそかに持ち出し、勝手にローンを組んだのは、ほんのひと月前だ。
そしていま、彼女はついに、それを行ってしまうのだ。
すべての銀行員が一度は目論み、だがたいていは良識に、ストップをかけられて
断念するそれ・・・
彼女の白い指が今コンピューターの操作パネルにかかっている。
破滅に向かうキーを叩いている。



#30年前の四百字小説
#テーマは・どん底・でした


それでも地球は回っている