30〔フラーノさんに捧げる一作です〕

わが家の小鳥ケージは27
きょうは14
13持って相方が宇宙空港へ行った

ごめんね
助けられるなら
あたしは船にのせたい

気持ちはわかる
で、夕方、相方は戻ってきた
16のケージとともに

うちのこたちがちょっと騒ぐ

戻ってきた戻ってきた

新顔新顔

誰?誰?

何で増えてんの

半笑いで私が聞くと

総理夫人いた
ご自身だけならって空港職員に言われて
ケージ置いて行きやがって

あなたもおいでなさい
連れてってあげる

だって
墨汁ぶつけてやったわ

(言い忘れたが、相方は書家だ)

情景想像して、クスクス笑ってる私に、

そこまで笑うことないでしょ
三ケージ、どこ置こう

私のほうに
猛暑で逝ったエレンたちのとこが空いてる

猛暑
猛暑自体がこの星の終焉を表していたのに、私たちは単なる異常気象だと思っていた
日本全体を覆い尽くす冷房システムに感謝してたら、何のことはない、為政者たちは私たちの血税で、脱出ポッドをつくってたのだ

冷房システムはあと何日もつの?

うまくすれば一週間
まあ実質は三日でしょ

じゃあそれまで、楽しくすごそう

相方がにっと笑う

置いていこうとしてごめん

そんなこと
ていうか

戻るって思ってたし

小さく言う私に、もう一回にっと笑って、

私たちはただ抱き合った

遠い雷が末期の星を覆っていた

それでも地球は回っている