かなった夢とかなわない夢

自分で動けて、縁(えにし)があれば、かなえたい夢はたいていかなうとおもう。
枷があったり、切れない鎖があったりするとかなえたいなんて言ってられなくなる。
捨てる力もかなえるにつながるのだ。
親兄弟を捨て、ふるさとを捨て、手を差し伸べてくれた会社すら捨て、誰も知らないペンネームで物語を紡ぎ続けた日々。
それを失ったのも、別のかなえたい夢のせいでもある。
あの男を落としたい。
たったそれだけの追い欲が、一生かけて育んできたすべてを台無しにした。
男は得られず、仕事は手につかないままとなり、さりとて私には戻るべき場所もない。
流れ流れてここに居るわけだ。
ここに。


だから今、最後の夢は、完全に欲を捨て、静かに終わってゆくことだ。


名声も金も異性もなにせむに降り積む雪に埋もれゆきたい



#かなえたい夢

それでも地球は回っている