立ち位置を。〔沙々良まど夏さんに捧げる一作〕

高台の、公園のベンチで五七五を研いでいる。
研ぎ澄まして。
研ぎ澄まして。
いつか自分を貫いてしまうような句に出来たら。

まあ。

野望だ。


句会に行く。
谷原さんと篠くんの間に座る。
そこしかあいてなかったのだけど、特別気楽な相手という点も加味されてる。
谷原さんはダンディーなナイスミドル。
篠くんは仔犬系の愛らしさがある。
鵜飼女王様にまた絡まれるなあって思いつつも、やはり気楽な方がいい。
彼らもそう思っていてくれるようで、篠くんが早速話しかけてきた。

まーねえ。
入選した!
入選!

入選?

たまゆらですよ。
新人賞。
けっこういい出来です。

谷原さんが解説してくれて、やっと脈絡がついた。
本誌を見る。
確かにいい。
ついこの間まで、

菜の花やおひたしにしたいおいしそう

って作ってた子とは別人のようだ。

まーねえ。
それ、褒めてない!

篠くんが膨れたとこで、大西先生がいらした。
長い髪を緩く結んでいるだけなのに、いつもながらお美しい。
これで男性だなんてもう・・・
目の保養だ。
おかげで講義も解釈も、全然頭に入らない。
罪だわ。


ということで、次回は改めて芭蕉やります。

終わってた。
見とれて終わってしまったわ。

ちがーう!
まーねえ寝てた。
ちょっといびきかいてた。

嘘!

ほんとです。
ちょっとだけ、はしたなかったですよ。

谷原さんまで!
いやーん私。
あ、女王様来る。
取り巻き連れて。
谷原さんや篠くんの表情も硬くなる。
うっとうしい、自称大物。

佐々本まりさん。
あんまりお行儀悪いことなさらないでくださる?

取り巻きも追随する。
講義で寝るわ、男性会員に色目使うわ、佐々本さんさいてー。
さいてーがハモってる。

特に色目は使われてないけどな。

私もです。
残念だ。

行こうまーねえ。
お茶飲んでこう。

私もご一緒していいですか?

歩き出した篠くんに、谷原さんが呼応する。
あなたも歩き出してと促す紳士の目線に、私は甘えさせていただくことにしたが、別れ際って当然挨拶するじゃん。

鵜飼さんお先に。

と言ってしまってから、いらんことをと思ったけど、言ってしまったものはしょうがない。

背後の怒気が凄かった・・・


何で絡むんだ、あのオバハン。

よしなさい。
鵜飼さん私と確かタメよ。

オバンじゃん。

ぶつぞ!

軽口叩く篠くんを、にらむ私を優しい目で、谷原さんが見ている。

ナイスミドルが優しい目したら、私、つけあがりますよ?

つけあがって下さっていいですよ。

コーヒーを上品に一口上がられる。

え?と思って赤面する私に、谷原さん、さらに笑む。
そこに篠くんが乱入する。

ずるいじじー!
まーねえは俺のなの!

それを決めるの佐々本さんですよ。

え?え?え?

俺にしなよまーねえ、じゃねえ、まりさん!

まりさん!?

待ってくれ!
待ってくれえ!!

パニクる私にあろうことかもう一声かかるここで!

私も混ぜてもらっていいですか?

大西先生が立っていた!!!
これ夢っ?????

頬を抓ったら痛かった。


そして二ヶ月。
私をめぐるさや当ては今も続いてる。
鵜飼さんはますます不機嫌深め、三世代の立候補者は譲り合うことを全く知らない。

ここはもうだんまりを決め込んで、私は作句に専念するのみだ。
お題は花菖蒲。
ふっとこんなのがうかんだ。


立ち位置を教えてほしい花菖蒲


菖蒲に勝負、かけてみた。





まど夏さんは読み専ではないけどね(^^)

興味わいたらほかのみなさんもお声かけくださいませ

            NN拝


それでも地球は回っている