伝説〔ひばりんさんへの感謝三作の②〕


屋根より高いお父さんを見上げてる。
あんなふうに大きくなりたい。
いつかなれるかな。
ポリエステルじゃだめなのかな。
なりたいものにはきっとなれるよ。
夕日に照らされた、雲のご機嫌じいさんが笑む。
昔そんなこと言ってた小さい緋鯉がな、風に乗って遠くへ行ったんじゃ。
今頃は、滝を遡って、上流で龍になっておろうよ。
ご機嫌じいさんはいい加減なことばかり言う。
でも。
せっかくだからなれるとおもっていよう。
しまい込まれても。
出されなくなっても。
バザーに出されて、幼稚園に行っても。
尾鰭が裂けて・・・



はっとなる。
肉のからだ。
鰭が全部絵じゃない。動く!

生きた緋鯉になったのだ。
ああ目の前に滝!
これを登りきれば!



その年滝に挑んだ緋鯉は、一尾残らず龍になったという。


それでも地球は回っている