畳む妻


洗濯物をたたみ終わると、桐子は小さく伸びをした。
右手はパー、左手はグー。
あんな伸びのしかたがあるもんか。
そう思って笑いかけてすぐ、背筋が凍った。
あの伸びのしかたは玲子のものだ。
二年前に逝った・・・
だがどうして玲子の伸びを桐子が・・・
二人は全く知り合いじゃない。
ああ、ただ・・・

玲子は自分の死の直前、僕に再婚を約束させた。
それもすぐにと言い張った。
僕は彼女に導かれるように、桐子と出会い、妻に娶った・・・・


どうしたの?

いつの間にか新しい妻は、僕を振り向き案じている。
その姿はやはりどこか、死んだ女に似ている気が・・・




#30年前の四百字小説
#テーマは・くせ・でした

それでも地球は回っている