這い出る男〔おどろおどろしい表現が苦手の方はブラウザバック願います〕

最初に墓石が、ずずっと動いた
朽ちて半ばとろけた腕が、ずぬっと現れる
続いて肩

いや、どこから肩で頭だか
腐臭がすごい
這いずって這いずって国道まで出た
たまたま鉢合わせたクーペ~いかにもクーペらしく、若気の至りみたいな男女が乗っている~がタイヤを軋ませて止まったが、助手席の女が金切り声をあげた

何で止まるの!轢けよ!

ひ、轢いたら車汚れる・・・

いいから轢くのよ!轢け!!

い、いやだ!

くだらない会話をよそに、半ば溶けた男はドア脇に伸び上がった(その際に下半身が腰からどろっと落ちた)
それでも言う

吉野ヶ里の出土から・・・・何がわかった・・・

あ・・・んだって?

男はおびえつつも問い返す
同時にこの何かの、下唇が妙に目立つことにも気づいている
ズンドコベロンチョではない
てことは・・・

邪馬台国はどっちだった・・・・

近畿か

九州かあああああ・・・・



松本・・・清張・・・


男は唸るようにその名を呼ぶが
ドロドロの松本清張の顔横に
もはや耳はない

女が再び大きく悲鳴をあげた

              未完

それでも地球は回っている