鬼。鬼の子。鬼の孫。〔そろそろ明確に申し上げます。この連作はちゃんとフィクションです💕〕

おふくろが刈り直した髪型で、短髪仁保はますますかわいくなった。
そうなるとおふくろも現金なもので、仁保ちゃん仁保ちゃんとかわいがってる。
そんな様を見つつ、感じつつ、俺と小野塚は語らう。

塚が、使い鬼の意味ってのはなんとなくわかった。
おまえは斧塚、武器使いなのかな。
で?黒塚と数鬼は?

言っちゃっていいのかわかんないんですけど・・・

と、言い淀みながらも、小野塚が話したのはこんなようなことだった。


太古、アマテラスが閉じこもった岩戸の、閉じられた扉の内側から、鬼は生まれた。
スサノオの残虐が自分のうちにもあるのだという深い明察が、かの神を岩屋に閉じこもらせたのであり、弟の所業に怒って、などという、浅薄な感情ではなかったのである。
それでいて、自分より美しい女神があがめられたら悔しい、そんな浅薄も持ち合わせている女神だったのである。
タヂカラノオに引きずり出されたとき、彼女の浅薄とスサノオに似た残虐が中に残され、そのどちらかが数鬼に、もう一方がキメ(鬼目であり木目である者)になったのだった・・・


塚は?

鬼の子という位置取りですね。
親が鬼。
子は親につくすので、うちみたいな家系と仁保みたいな家系ができる。
黒塚は代々数鬼側だったけど、たまに気の迷いみたいに人を救う。
黒塚伝説なんかまさにそれですよ。


ああ。
黒塚伝説。
峠の人食い鬼でありながら、若者だったか僧だったかを救おうとして仲間の手にかかった鬼娘・・・

あ。
そうなると。
鬼の孫ってのは・・・



それでも地球は回っている