新学期

あれから何カ月すぎたんだろう。
夏休み。
冬休み。
外国で戦争が起きたり、病気流行ったり。
あいつがいなくなってしまって、『秩序』も壊れてしまったんだろうか。
GWすぎたら、町の名も変わる・・・

夏休みはいつも三人だった。
あれからすぐ夏休みになったから、黒塚を学校へ戻す必要もなかった。
宿題やって、スイカ食べて、花火して、花火大会行ったりしてた。
9月になって学校始まったとたん、学校は新しい校長を迎えた。
伊沖志麻子。
まだ40くらいの若い校長。
黒塚に対してもふつうだった。

久喜先生のお嬢さんよね。
久喜先生、アテネの学会の準備がお忙しくて、それで私が配属されたの。
木目角さんとこがご迷惑でなければ、そのままそこから通ってください。
経費は弥栄君のお母様に、こちら渡して。

と、差し出された通帳には、ななせんまんえんほど入っていたそうだ。

使わないわよこんなもの。
仁保ちゃんがお嫁に行くときの持参金になさいね。

太っ腹なおふくろ様は、黒塚経費を全部自分のへそくりで出す気らしかった。

それより伊沖って・・・

だよね。
伊沖。
いおは、五百。
五百旗でもいおき。
五百鬼でも・・・

弥栄は?
今日も頭が痛いそうだ。
新校長の着任以来、なんとなく不調をかこってる。
五百鬼。
志麻子。
死。
魔。
呼。
ろくでもねえ。

あたし出てったほうがいいかも。

囁くように言う黑塚が、俺や弥栄に睨まれる。
おふくろ様も怒っちゃう。
もうすっかり、おふくろ様の娘扱い。
俺も木目角家に入りびたってきたけど、今は黑塚のがずっと近しい。
にしても弥栄。
なんでそこまで不調・・・



それでも地球は回っている