あのころ

ネオトキオに住む資格は
スリムとステータス
年収一千万以下は立ち入ることは許されないし、身長体重が政府規定を超えたら、二週間内に退去だ
マネキンの都市とヤユされるけど、見苦しいもののない世界は美しい

私は売り出しの作家だ
人気は安定しているけど
書き方に少し問題がある
書き出す前、私は逃避行動として一気呵成に食べまくる
もうだめこれ以上なにも入らないーーーーのとこまで食べて、そこから書く
だから書き上げたあとニ、三日、とても醜いことがあるのだ
やめなよそのやり方
同業のまりえが私をよく諭していた
突チェックに引っかかるよ
まあ俺はちやの、外見と違うとこに惚れてるから
修也がそう言っててくれるから、私はあまり気にしないで、太ったり痩せたりを繰り返していたのだが…

最新作「恋のおわり」の上梓後に、私はついに突チェックに引っかかってしまった!
それも7キロ増
2週間猶予も貰えない、即退去指定体重だ
拘束バブルに封入されて一気にネオトキオ外へ出された
バブルの中から私は見た
修也とまりえが仲良く並んで飛ばされてゆく私を見てた
美男美女なのにその姿は、何だかひどくイビツで厭わしかった…


今私は周辺都市に住んでいる
体重もどんどん増えて、もはやネオトキオには労働力としてさえ入れてもらえないレベルだ
でも特に戻りたいとは思わない
あの体型を維持するのに使っていた労力と気苦労がないだけでめっけものだ
すらりとしてることより
収入レベルが群を抜いてることより
人生いろいろな方がいい
少なくとも、今の私はそう思っている


それでも地球は回っている