一億円の低カロリー

リョウコはお嬢だから、いちおくえんっていわれても出せるのよ。
スーパーダイエッター、六本買ったそうだ。

五本買うと一本おまけでついてくるんだもん。
めっちゃおトクよ。

おトクの定義がそもそも間違ってる。
しかも一本私にくれた。
親友だからって。
殺したくなったわ。
これは友情っていうより、生活圏の違いをひけらかすものだ。


というわけで、私はスーパーダイエッターを人に売り、その対価で郊外に小さな家を買った。
等身大のささやかな生活でよかったから。
でも半年後、資産家が次々死に始めた。
リョウコも。
スーパーダイエッターは、遅効性の毒だったのだ。
製造者は資産家の淘汰を考えたのだという。
私から安く買った人も死んだ。
私は善意の第三者ということで罪を逃れられる見込みだが、道義上の責任は免れないだろう。
身の丈の生活をするのさえ、下層階級は難しいようだ。

それでも地球は回っている