カーテン際に立つ〔読み物100〕

妹の動きがちょっとおかしい。
午前10時と午後4時。
必ずカーテン際に立つのだ。
時間にしてほんの5分。
息を詰めたように立って、終え際、はあ、とため息をつく。
何で立つ。
何を見てる。


いないときに同じ位置に立ってみた。
玄関の小屋根とうちのちっぽけな門扉が見えるだけだ・・・
向かいの家のペル?
いや。
犬見てため息つく子じゃない
わからん・・・

離れようとしたとき。
ブルルとエンジン音がして、日本郵便が来た。
昔でいう、郵便配達だ。
バイクを降りていくつかの郵便物を持って、うちや近所の玄関先へ・・・

あ。

このこ見たことある。
めっちゃ顔立ちきれいなんだ。
それに親切で・・・
こないだうち、迷惑郵便の断りかた、丁寧にレクチャーしてくれたっけ・・・

そうか妹のやつ・・・



三月後、妹はあの御仁を恋人にしてた。
近所の郵便物を、誤配だったといって手渡して、きっかけを作ったのだ。
うまくいったからいいものの、妹はやっぱりバカだと思う。
ひとんちの郵便物取ったら窃盗なんだぞ。
いつかはっきり言ってやらねば。
こういうのを結果オーライっていうのかな。
今もデートの約束を取り付けてた・・・
少なくとも、彼女は今めっちゃ幸せみたい。
それだけは間違いないようだ。


それでも地球は回っている