一色の花束〔うわの空さんへのお礼作です〕


婚家のおかあさま、わるいかたじゃないんだけど、お花の趣味が難しい。
初めて持って行った花束は、まんまゴミ箱に捨ててあった。
お花嫌いなのかな、と思ってお花以外のものを持って伺って三年、

由里子さんはお花嫌いなのかしらね

って夫に言ってるのを聞いた。

いえね、お花くださらないから

捨てたくせに。

お菓子いただいても、そんなに食べないしね

捨てたくせに。
ほっとこうかとも思ったけど、私は私の意地があるのだった。


そこからお花を再開。
毎回花束を持っていった。
バラもだめ、百合もだめ、グラジオラスもカーネーションも。
単なる意地悪?
それでも意地で続けた。
だんだんわかってきたのは、混ざりがお嫌いということ。
一色の花束でなくてはならず、しかも同一のお花ではだめ。
様々の花で同色グラディエーション。
かすみそう等の添えは使わないこと・・・


ついにぶちきれた。
裸の王様にしてやるわ。
透明セロファンの固まりで膨らみを作り、形だけ花束にしたものを差し出したのだ。
夫は呆れ顔だったが、口は挟まないでくれた。
義母は受け取り、


まるでそこに花があるかのように香りを吸い込んだ。
そして満面の笑みを浮かべた。


できたわね。
由里子さん。


!!


私の口から絶叫が糸を引いてこぼれた。


私はこのとき初めて、義母の認知に気づいたのだった。



うわの空さん、ご参加ご協力ありがとうございました

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お!再開??





それでも地球は回っている