抜けるような青い空の下、姉は縁側で洋裁をしていた。
ほんとは国防色に染めなきゃいけないんだけどねと笑いながら、黒光りする大ぶりの鋏を器用に動かして、右前身ごろ、左前身ごろ、後ろ身ごろと切り取ってゆく。
あとは衿と、バイアスと、ポケット。
うっかり敵性語で言ってしまったので、衿以外のふたつを急いで切り取る。
そして衿を



その時だった。

天が裂けるような輝きが、姉と家と母と弟の真上に轟いた・・・



切り抜かれず終わった真っ白な衿と、抜けるような青空、そして新型爆弾。
ある八月のことだった。




#30年前の四百字小説
#テーマは・衿・でした


それでも地球は回っている